IT業界は、現代を生きる社会の上で利便性があり、欠かすことができない重要な産業の1つとして認識されています。
そんなIT業界で働いてみたいと考える方も多いのではないでしょうか。ただ、IT業界といっても、さまざまな分類に分かれているので、しっかりと業界や職種について理解しておく必要があります。
そこで、就活生のためにIT業界とはそもそも何を指すのか、職種や企業分類などを徹底解説していきます。
IT業界とは
ITとは情報技術(Information Technology)の総称であり、IT業界とは情報技術を活用し、ソフトウェアの開発・インフラ構築・システム運用・データ管理などを行う業界を指しています。
国内外問わず、デジタル化が進んでいく中でIT業界の成長は著しく、さまざまな分野に大きな影響を与えています。
IT業界の主な分野
IT業界の主な分野は、大きく分けて5つあります。
それぞれ、必要なスキルや職種が変わるのでよく理解しておきましょう。
① ソフトウェア・アプリ開発
ソフトウェア・アプリ開発の分野は、コンピュータ上で動作するプログラムやアプリケーションを開発する仕事です。
ソフトウェアは、パソコンなどの内部でさまざまな処理を行うプログラムをまとめたものを指しています。
基本のパソコン操作を可能にするオペレーションシステム(OS)と、Wordなど個別の目的に沿って開発するアプリケーションソフトがあります。
企業や個人が業務・作業を効率的に行うために必要な分野です。
② インターネットサービス・Web系
インターネット・Web系の分野は、Webサイトの構築やサービス開発が主な仕事です。
Webブラウザやアプリで利用できるインターネット上のサービス全般を指し、企業のポータルサイトやSNS、ソーシャルゲームなどの開発をします。
近年は、スマートフォンの普及によってECサイトやSNSの利用が拡大しているため、IT業界の中でも特に成長している分野だといえるでしょう。
③ ハードウェア・インフラ
ハードウェア・インフラ分野は、パソコンやスマートフォンといった目に見えるハードの部分を作っている職種です。
インフラは、パソコンやスマートフォンに必要な通信機能を扱っています。
ハードウェア・インフラ分野は、通信機器を扱う職種なので、現代社会にとって欠かせない存在として知られています。
IT業界を支える重要な分野の1つとして、大きな影響力を持つ分野です。
④ ITコンサルティング
ITコンサルティング分野は、企業の課題を解決するためにITを活用する専門家を指しています。
ソフトやアプリを開発するというよりも、企業の困りごとに対してIT戦略を策定し、システム開発の提案や最適化を行う仕事です。
ただ提案を行うだけではなく、効果の分析やマネジメントといった部分まで広く対応する点も特徴といえます。
⑤ AI・データ分析
AI・データ分析分野は、近年注目されているAIを活用したデータ分析をする仕事です。
AIを用いた分析では、高速計算と膨大なデータの処理を行えます。
速いだけではなく、多くのデータを精度の高い分析結果を出す技術なので、注目されている技術・職種といえるでしょう。
データ分析は、単純に数値を出すだけではなく、特定の業種における業務改善・顧客の予測など、広い範囲で活用ができます。
IT業界の特徴
IT業界は、長く注目されている職種です。
自身の職種にしたい、と考えた時にまずはどのような特徴があるのかについて理解しておきましょう。
以下では、IT業界の3つの特徴とIT業界に向いている人の特徴を解説するので参考にしてみてください。
① 成長が続く業界
以前であれば、IT業界はシステムやアプリの開発が主体と考えられてきました。
しかし近年は、ユーザーがサーバーやソフトウェアを所有していなくともインターネット上だけで利用可能なクラウド、人工知能として注目されているAIなどの分野が拡大しています。
さらに、通信技術のIoT(モノのインターネット)も大きく成長を遂げています。
IT業界は常に成長を続けている業界として、多くの人材が求められるでしょう。
個人ユーザーの生活を豊かにするだけではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、企業がAIやIoTなどのデジタル技術を用いることも増えています。
② 変化が激しい
IT業界の職種は、常に進化し続ける技術やトレンドについて把握しておかなくてはいけません。
1つの技術・トレンドが一定の期間継続するわけではなく、細かな変化が短期間で多く行われます。
そのため、新しい技術やトレンドについて常にアンテナを張り巡らせながら勉強しておく必要があるでしょう。
変化が激しい業界という点が特徴なので、常に最新技術を学び続けることが重要です。
③ 働き方の自由度が高い
IT業界は、働き方の自由度の高さも特徴の1つです。
通勤をし、会社内で仕事をするケースもありますが、近年はリモートワークが普及しています。
パソコンなど仕事に必要な機械が揃っていれば、自宅でも問題なく仕事ができるので、自由な働き方を望めるでしょう。
また、IT業界の職種の多くはプロジェクト単位で作業を管理しています。
そのため、担当しているプロジェクトごとに作業量や勤務時間に大きな差がでるのでフレックスタイム制が導入されている企業も多いです。
常に高いパフォーマンスを求められる職種なので、自分のペースで仕事ができるのは大きなポイントだといえます。
エンジニアの場合は、経験を積み、フリーランスエンジニアとして働く人も多いです。
このように、働き方の選択肢の広さはIT業界の魅力といえるでしょう。
④ IT業界に向いている人
IT業界は、今後も需要が増え続ける職種です。
どのような職種でも、向き不向きはありますが、IT業界に向いている人は、以下のようなタイプです。
・考えが論理的
・新しい技術を学ぶのが好き
・ITを使用した問題解決が好き
・フレキシブルな働き方を求めている
・プログラミングやデータ分析に興味がある
エンジニア職種ではなかったとしても、IT業界で働く上で重要なのは考え方が論理的であることです。
ITを活用して顧客・ユーザーが抱えている問題をどう解決しているのか、という点を論理的に考えていかなくてはいけません。
感情的に行動しては問題解決が遠くなってしまうので、事実や情報に基づき、一貫性のある考えのもと、適切な判断が行える人が向いています。
ITを使用して、しっかりと問題解決を行うことが好きな人や常に進化し続ける業界なので、新しい技術を学ぶことが好きな人も向いているでしょう。
細かな処理、作業が必要になるのでプログラミングやデータ分析なども苦にならず、むしろ興味があるという人の方が仕事に楽しさを見出せます。
IT業界特有のフレキシブルな働き方は、人によって向き不向きはありますが、自分の時間を有効的に活用して仕事をしたい人に向いているでしょう。
IT業界の主要業種分類
IT業界は、技術が発展していることで多様化しています。
主要な業種の分類は、大きく6つに分けられるので、以下で解説していきます。
① ハードウェア業界
電子機器のような目に見える機械・装置、設備などを開発・製造する企業が該当します。
1.コンピュータやスマートフォンなどの開発:Apple、Dell、HP、Lenovo:iPhone、Dell Pro、HP、Lenovo
2.半導体・チップ設計:Intel、NVIDIA、AMD、TSMC:インテル®︎Core™️Ultraプロセッサー、Blackwellアーキテクチャー、AMD、TSMC
3.ネットワーク機器:Cisco、Huawei、NEC:SR1000、ネットワークスイッチ、NEC
4.組み込みシステム:富士通、三菱電機、オムロン:Linux、三菱電機、NYB35
・求められるスキル:組み込みプログラミング(C、C#、C++)、電子工学、TRON、回路設計、アセンブリ
② ソフトウェア業界
コンピュータを動作させるために必要なプログラムであるソフトウェアを開発・販売する企業が該当します。
ソフトウェア業界の職種は、システムエンジニア・プログラマー・ネットワークエンジニアなどが該当し、職務が重複する企業も多いです。
- OS・基本ソフトウェア:Microsoft(Windows)、Apple(macOS)、Google(Android) :Office、Claris File Maker、Google
2.業務系アプリケーション:SAP、Oracle、Salesforce:SAP Access Control、ERP、Salesforce
3.セキュリティソフト:McAfee、Trend Micro、Symantec:McAfee+ウルティメイト、ウイルスバスター、Symantec
・求められるスキル:プログラミング(Java、Python)、クラウド(AWS、Azure)、データベース管理(SQL)
③ インターネット・Web業界
インターネット・Web業界とは、インターネットを介した便利なWebサービスを提供している企業が該当します。
現代社会では欠かせない業界ともいえるので、多くの企業が該当するでしょう。
1.検索エンジン・広告: Google、Yahoo!:Google広告、Yahoo!JAPAN
2.ECサイト:Amazon、楽天、ZOZO:Amazon、楽天市場、ZOZOTOWN
3.SNS・メディア:Facebook(Meta)、Twitter(X)、Instagram:Facebook、X、Instagram
4.クラウドサービス:AWS、Google Cloud、Microsoft Azure
・求められるスキル:フロントエンド(JavaScript、React)、バックエンド(Node.js、Ruby on Rails)、データ解析(Python、SQL)
④ SIer(システムインテグレーター)
SIerは、企業のシステム構築やITコンサルティングを行う業種です。
顧客の業務を分析しながら、問題解決に向けたコンサルティングを行います。
そのほかにも、システム設計・開発・運用・保守などを一挙に請け負う企業が該当します。
1.大手SIer(メーカー系):NTTデータ、富士通、日立製作所:メンテナンスサポート、サービスソリューション、グリーンエナジー&モビリティ
2.コンサル系Sier: 野村総合研究所(NRI)、アクセンチュア:野村総合研究所(NRI)、アクセンチュア
3.独立系Sier:SCSK、TIS、CTC:SCSK、TIS、CTC
・求められるスキル:要件定義、プロジェクト管理(PM)、システム設計、Java、組み込みプログラミング(C#)
⑤ 通信業界
通信業界とは、主にインターネットやモバイル通信を提供する企業が該当します。
通信業界の進化が著しく、遠隔地でもスムーズなコミュニケーションが可能となった昨今、大きく注目されている業界です。
1.モバイルキャリア: NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル:docomo、au、ワイモバイル、楽天モバイル
2.インターネットプロバイダ: NTTコミュニケーションズ、BIGLOBE、OCN:NTTコミュニケーションズ、フレッツ光、OCN光
3.5G・IoT開発: Nokia、Ericsson、Qualcomm:Nokia、5G Advanced、Snapdragon
・求められるスキル:ネットワーク(CCNA、CCNP)、通信プロトコル、無線技術(5G、Wi-Fi) 、データベース管理(SQL)
⑥ ゲーム業界
ユーザーの要望や市場の動向を把握し、ゲームの開発・販売を行う企業が該当します。
ゲーム業界は、エンターテイメントを提供することによって成果を出す職種なので、操作感やキャラクターの動きなど綿密な作業が求められる仕事です。
1.ゲームハード:任天堂、Sony(PlayStation)、Microsoft(Xbox):switch、PlayStation、Xbox
2.コンシューマーゲーム:スクウェア・エニックス、カプコン、バンダイナムコ:ドラゴンクエスト、モンスターハンター、バンダイナムコ
3.モバイルゲーム: Cygames、GREE、ガンホー:グランブルーフファンタジー、釣り★スタ、パズル&ドラゴンズ
・求められるスキル:Unity、Unreal Engine、組み込みプログラミング(C#、C++)、Python(AIゲーム開発)、Swift、Kotlin
IT業界の職種分類
IT 業界は一言で職種を分類することはできませんが、大きく3つに分けることができます。
以下では、それぞれ解説するので、参考にしてみてください。
職種別の仕事内容や必要スキル
IT業界の職種は、以下の3つに分けられます。
・エンジニア系
・クリエイティブ系
・コンサルタント系
それぞれの職種で、仕事内容も必要なスキルも異なるのでしっかりと解説します。
① エンジニア系
IT業界と聞くと、多くの人がイメージするのはエンジニア系です。
エンジニアは、以下の3つに分けられます。
• システムエンジニア
• インフラエンジニア
• セキュリティエンジニア
・システムエンジニア(SE)
仕事内容とスキル
SEと呼ばれることも多いシステムエンジニアは、クライアントへヒアリングを行い、要望に応じた最適なシステムを開発する仕事です。
開発の現場においては、システム設計やプログラミング業務を担当します。
プログラミングに関しては、プログラマーに任せる場合も自分で担当する場合もあり、企業によって違いがあります。
いかにクライアントの要望を汲み取り、課題解決やニーズの分析を行えるのかが重要です。
企業向けシステムの設計・開発を行うことが、主な仕事です。
そのため、基盤システムを開発するために必要なJavaやアプリ開発のために必要なC#、SQLといったスキルが必要になるでしょう。
・インフラエンジニア
インフラエンジニアは、サーバーやネットワークといったITインフラを扱う重要な職種です。
情報システムを下支えするITインフラの設計・構築・運用・保守を担う仕事で、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアに分けられるケースもあります。
ただし、ITインフラの構築はサーバー・ネットワークどちらかだけで完結するわけではありません。
全体がスムーズに連携しなければいけないので、結果的にインフラエンジニアはサーバーもネットワークもどちらのスキルを持ち合わせておく必要があります。
サーバーやネットワークの構築・運用を行うことが、主な仕事です。
そのため、Linuxなどのソフトウェアに関するスキルやITシステムを設計するときに必要なAWSなどのクラウドサービススキルは必要といえます。
また、Ciscoの技術者認定資格を取得することで、ネットワーク機器やツールの知識が得られるでしょう。
・セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、セキュリティ攻撃に対する対応やセキュリティポリシーなどの立案を行うエンジニアです。
多くの場合は、情報セキュリティに関する技術と知識を持っているエンジニアとして、サイバー攻撃などの外部から企業の保有するデータやシステムを守ることが仕事といえます。
そのほか、企業の担当者や従業員に対するセキュリティ教育を行う場合もあります。
サイバー攻撃対策や監視を行うため、CISSPなどのセキュリティ関連資格が必要です。
② クリエイティブ系
Webやアプリ、ゲームのUIなどをデザインする仕事がクリエイティブ系と呼ばれる職種です。
・UI/UXデザイナー
UI/UXデザイナーは、言葉が似ており、システム・ビジュアルを通じてユーザーに有益な体験を提供する点も同じですが、仕事内容は異なります。
UIデザイナーの場合は、ユーザーと製品・サービスの接触がスムーズにできるよう、使いやすいデザインを作り出す仕事です。
UXデザイナーの場合は、実際にユーザーが製品・サービスを利用した際に満足度の高い体験ができるようなデザインを作り出す仕事だといえます。
企業によっては、UI/UXデザイナーそれぞれ別に採用するケースもありますが、一般的にはどちらも対応することがほとんどです。
ユーザーのことを第一に考え、使いやすさや使って良かったと思えるようなデザインを作り出さなくてはいけません。
プロジェクトチームで仕事をするケースがほとんどなので、Figmaのようなブラウザ上で共同編集できるプラットフォームを使います。
また、世界中で利用されている画像編集ツールのPhotoshopを活用できれば、より美しいグラフィックやデザインを作り上げることが可能です。
・ゲームデザイナー
ゲームデザイナーは、ゲームの基本設計を行う仕事です。
広範囲な知識が必要であり、ゲームの流行に関してもアンテナを張っていなくてはいけない仕事です。
家庭用ゲーム機のデザインだけではなく、近年はスマートフォン向けアプリゲームのデザインの仕事も増加しています。
キャラクターデザインも担当しますが、そのほかにもゲームの企画をより具体的な内容にした企画書の作成も仕事の1つです。
最終的にゲームが完成した後は、ゲームのバランスに問題がないかなど制作のすべての部分に携わります。
ゲーム開発プロジェクトをスムーズに進めるためUnityを使用したり、魅力的なグラフィックを作るためにBlenderを使用したりします。
② コンサルタント系
IT業界では、エンジニアやデザイナーが大きく注目されますが、ITコンサルタントも重要な職種の1つです。
・ITコンサルタント
ITコンサルタントは、 クライアント企業の経営に対する悩み事やビジョンについてヒアリングを行い、ITを通して必要な投資計画の策定や必要ツールの導入、支援を行う仕事です。
提案をするだけではなく、費用対効果やスケジュールについてもしっかりと相談に乗り、システムの分析や選定を行うのもITコンサルタントの役割となります。
エンジニアとは違い、コンサルタントなので企業の経営方針に基づいて、ITを用いて問題解決に導くことが仕事です。
IT戦略を立案するために、しっかりとプロジェクト管理を行うことが大切だといえます。
また、ITシステムをスムーズに導入するため、SQLなどのデータベースの操作や管理を行うためのプログラミング言語を理解しておくといいでしょう。
企業規模と働き方
IT業界の市場規模は、今後も拡大していくと考えられています。
柔軟性のある働き方が魅力の業界でもありますが、企業規模によって働き方が異なる点も特徴です。
・大手IT企業
大手IT企業というのは、はっきりとした定義はありません。
しかし、従業員が300人以上だったり、資本金が3億円を超えたりするなどがラインになっています。
大手IT企業の場合、お客様との取引に安定性が見込まれるので、安定した業務を行うことが可能です。
大手 IT企業だと資金力があるので、最新技術やサービスなどを使って仕事ができます。
また、経営が安定しているため、従業員への研修制度が充実しているケースがほとんどです。
・メガベンチャー
メガベンチャーとは、ベンチャー企業が成長して規模を大きくした企業を指しています。
数値上での定義はありませんが、従業員が500人以上、時価総額500億円以上を果たす企業が一般的にメガベンチャーです。
メガベンチャーの場合、非常に働き方が多様化しているため、1人1人に任せられる裁量が大きく、やりがいを感じられるでしょう。
年功序列にとらわれずに、自分が正しいと思う仕事ができるため、早くスキルアップができる環境です。
また、最新技術を積極的に取り入れているので、新しい知識を吸収しやすい企業だといえます。
・スタートアップ
スタートアップの定義は、社会にイノベーションをもたらすことで起業から短期間での成長を目指す企業を指しています。
ベンチャー企業の1つに分類され、企業の急激な成長のためにハイリスクを厭わないビジネス展開をしている点が特徴です。
ベンチャー企業の中でもIT業界に多い企業規模で、スタートアップはより革新的なアイデアをもとにして、新しいビジネスモデルを構築していくことを目的としています。
そのため、企業が掲げたビジネスモデルを実現するために、短期間での成長を目指しているので従業員の成長環境も整えられています。
一方で、少人数の従業員と経営者で最初は運営されるので、なかなか安定した仕事を得られない点がデメリットです。
大手IT企業とは違い、取引先との付き合いも長くないケースがほとんどのため、安定した仕事を得にくい可能性があります。
・外資系IT企業
外資系IT企業は、名前のとおり日本企業ではなくて、海外企業が日本に進出している企業を基本的に指しています。
100%子会社で海外資本になっている企業のほか、海外企業と日系企業の共同出資による会社の場合もあります。
また、近年増加傾向にあるのは海外企業が日系企業を買収するケースです。
IT業界では、外資系企業が多く積極的に広い職種の募集を行っています。
外資系IT企業の大きな魅力は、成果主義の考えが普及しているため、実力さえあれば誰でも活躍できる可能性があり、評価次第によっては高い収入を得ることが可能です。
頑張ればそれだけ収入となって返ってくるので、高いモチベーションを維持しながら勤務ができます。
一方で、外資系IT企業によっては世界中から集まってきた多様な人材とチームを組む場合があります。
そのため、英語での円滑なコミュニケーションが取れるように勉強しなければいけません。
IT業界の就活を成功にするポイント
IT業界に就職するために就活を行う際、成功させるためにはいくつかのポイントを理解しておきましょう。
やみくもに就活をしていても、自分の理想的な企業に就職することはできないので、まずはしっかりやるべきことを行ってください。
①自己分析をしっかり行う
IT業界へ就活するためには、まずしっかりと自己分析を行ってください。
IT業界と一言で言っても、開発が好きなのか企画を作ることが好きなのかによっても職種は変わってきます。
例えば、開発をやってみたい、自分が作った製品や商品をユーザーに利用してほしいと思っている人は技術系の職種が向いているでしょう。
ITを活用した企画考案をするのが好き、という人は技術系よりもクライアントの課題解決に奮闘するコンサル系の仕事が向いています。
自分が何をしたいのか、どのように成長していきたいのか分析を続けることで明確なビジョンも見えてくるものです。
自己分析ができている人は、面接などで企業にうまくアピールできるので必ず行いましょう。
②企業研究を深める
IT業界に就職した際、どんな業種・職種に就きたいのかを考えた上で、企業研究を深めてください。
業種や職種ごとに求められるスキルは異なるため、実際何が必要なのかをよく確認しましょう。
OB訪問やインターンを通して、実際に企業へ出向き、仕事内容を見学することも1つの方法です。
③必要スキルの習得
IT業界で就活を行う際、必ず行わなくてはいけないのは必要スキルの習得です。
例えば、アプリやWebサービスを開発するのであればプログラミング言語を習得したり、ネットワークやデータ分析の学習をしたりします。
就活に有利な資格を取得するというのも効果的で、基本情報技術者やAWS認定資格、CCNAなどは特に取得すると役立ちます。
④選考対策
就活において重要な選考対策も必ず行っておくべきポイントです。
一般的な選考対策でも行う人が多いケース面接や適性検査の対策だけではなく、IT企業では欠かせないコーディング試験の準備も行いましょう。
コーディング試験は、ITエンジニアの技術力を計るために行われます。
さらに、技術面接も行われるため、しっかりと準備しておきましょう。
IT業界の将来性が高い分野
IT業界は、技術的な革新が急速に進んでいるので、将来性の高い分野が次々と登場しています。
以下では、今後将来性が高いと見込まれる分野を解説するので、参考にしてみてください。
① AI(人工知能)・機械学習
AIや機械学習は、今後IT業界の中心となる技術の1つといえるでしょう。
近年、データ解析・画像認識・自然言語処理など、さまざまな分野で応用が進んでいます。
以下のように、さまざまな業界で導入されているので、もっとも将来性が高い分野だといえるでしょう。
・TeslaやWaymoなどの自動運転
・診断支援や創薬などの医療AI
・ChatGPTやstable Diffusionなどの生成愛
・UiPathやAutomation AnywhereなどのAIによる業務自動化
非常に幅広い分野で活躍が見込め、応用も進んでいます。
AI分野で活躍するためには、AI開発に用いられるPythonなどのプログラム言語や、機械学習をより発展させた深層学習も学んでおくといいでしょう。
② クラウドコンピューティング
近年、クラウド技術の普及によって企業のITインフラはクラウドベースに移行されています。
インターネット上でコンピューティングリソース配信が行うことで、企業のコスト削減やパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
以下のように、機材やシステム管理を行わなくても利用できるサービスが誕生しています。
・AWSやGCP、Azuneなどのクラウドサービス
・サーバーレスアーキテクチャ
・マルチクラウド戦略
クラウドコンピューティングでは、AWSやAzureなどに関する知識は必須です。
各プラットフォームのサービスやツールの特徴を理解して、効率的に活用するスキルは身に着けておきましょう。
また、サーバーやネットワークの基本的な知識もしっかりと学んでおくことで、クラウド上で効率的な環境を構築できます。
③ サイバーセキュリティ
近年、多くの企業でデジタル化が進んでいく中で、切っても切り離せないのはセキュリティの問題です。
サイバー攻撃などにより、システムの停止や顧客情報の漏洩など、被害に遭ったニュースが後を絶ちません。
しっかりとセキュリティ対策を行っていなければ、被害に遭う可能性も高く、取引先や顧客へ大きな損害を与え、企業の信頼も失墜します。
そのため、サイバーセキュリティの分野が大きく注目されています。
サイバーセキュリティの考え方として、全てのことを疑い対策を行う「ゼロトラストセキュリティ」を意識して業務を行う必要があるでしょう。
サイバーセキュリティ分野で必要なスキルは、AIを用いて組織のセキュリティ体制を整えたり、ブロックチェーンによるセキュリティ技術などが必要です。
④ Web3(ブロックチェーン、暗号資産、NFT)
Web3とは、ブロックチェーン技術などを基盤とした分散型のインターネットの概念として知られています。
ブロックチェーン技術は、特に金融・アート・エンタメ業界で活用が進んでいる点も特徴です。
データを分散して管理することで、ユーザー自身の手で管理・運用できるようになります。
⑤ メタバース・VR/AR
メタバースは、オンラインでつながる仮想空間を指しています。
VRは、オンラインというよりもヘッドマウントディスプレイなどの装置をつけて仮想空間を表示させて体験をする方法です。
ARは、現実の空間に仮想の情報を表示させる方法なので、それぞれ意味合いは異なります。
同じように認識されていますが、実際は細かな部分で違いがあり、用途に合わせてビジネスやエンターテイメントの需要が高まっている分野です。
メタバース・VR/ARで必要なスキルは、C#やC++、Javaといったプログラミング言語です
メタバース・VR/ARでは、さまざまな技術要素を組み合わせているので、プログラミング言語スキルがあることは必須です。
また、3Dモデリングやアニメーションスキルも空間制作に必要なスキルなので、抑えておきましょう。
⑥ IoT(モノのインターネット)
IoTとは、モノをインターネットに接続する技術の総称です。
近年、日常生活だけではなく多くに企業の製造現場や自動車の自動運転など、多様な場面で活用される技術といえます。
特に2020年にサービスが開始した5Gの普及によって、一層IoTデバイスがより増加し、あらゆるものがネットワークにつながる時代になるでしょう。
以下のような商品、サービスが該当します。
・Google NestやAmazon Echoといったスマートホーム
・交通、エネルギー管理のスマートシティ
・工場の自動化である産業IoT
IoTで求められるスキルは、開発に必要なJavaやPythonといった組み込み系プログラミング言語です。
そのほか、ネットワークに関する知識も必要なので、Wi-Fiや5Gといった通信技術はもちろんのこと、BluetoothやNFCのような無線系の能力も習得をしましょう。
IT業界の年収
IT業界で働こうと考える人にとって、どの程度の年収があるのかが気になるポイントです。
令和3年2月4日に経済産業省で発表された資料によると、他の業界と比較するとIT企業は首都圏や都市部に集中しています。
そのため、IT業界の場合は報酬水準が高い傾向にあることがわかっています。
もともと、海外では高いスキルを持ったIT人材に対して、高額の報酬水準を提示してオファーすることが多いです。
そのような海外の動向を国内でも参考にし、新卒でも高い年収を設定する傾向が増えています。
例えば、NECの場合はAI等の分野で大学時代に論文が高い評価を得ている新卒者は年収1,000万円以上提示しているのです。
そのほか、DXを進めている企業では以下のような給与水準となっています。
・ベンダー企業:800〜1,500万円
・ユーザー企業:480〜1,200万円
・DX銘柄企業:400〜1,500万円
ユーザー企業、DX銘柄企業の場合は業種によって年収は変動しますが、一般的な新卒者よりも高い年収を得られやすいです。
IT業界の場合、能力や成果を重視して年収を設定する企業も多いですが、まだ年功序列を重んじている企業も多く存在しています。
基本が能力や成果を重視している海外とは異なり、日本では年功序列制や能力・成果重視でも年収の差があまりないというケースも多いのです。
IT業界で従事する人の多くは大学や大学院を卒業しているケースが多く、年収にも影響を与えています。
最終学歴が大学や大学院卒の場合、1,000〜1,500万円がもっとも多い年収区分です。
また、IT人材として従事するのかしないのかによって、仕事へのスキルアップに対する意欲に違いが出ていることもわかっています。
IT人材の場合、働きながらもスキルを習得する意欲のある人が9割以上いますが、非IT人材の場合は意欲のある人は1割程度にとどまっています。
IT業界は持っているスキルによってできる仕事もどんどん増えていくため、その分年収に大きな違いも出てくるでしょう。
※参考 令和3年2月4日 経産省
第1回 デジタル時代の人材政策に関する検討会 我が国におけるIT人材の動向
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/001_s01_00.pdf
IT業界における就活での注意点
年収の高さ、需要の多さでIT業界における注目度は高まるばかりです。
新卒・中途採用どちらの求人も多いですが、就活をする上で注意しておきたい点を解説します。
① ブラック企業に注意
近年、働き方改革が行われていることから長時間労働に関しては改善されている企業が増えています。
IT業界でも労働環境が良い企業もありますが、全ての企業が良いというわけではありません。
中には、長時間労働をさせるいわゆるブラック企業もあるため、企業に関する口コミサイトをチェックしたり、就職四季報などで確認したりしましょう。
また、長時間労働だけではなく、社風や働き方も長く働くためには重要な部分です。
口コミサイトでもチェックできますが、OB・OG訪問でも確認ができます。
ブラック企業の特徴の1つとして、離職率の高さもあげられます。
新卒入社3年以内と年度ごとの離職率は特に注目すべき部分なので、よくチェックしましょう。
働く上で給与体系も重要なポイントで、特にIT業界によくあるみなし残業(固定残業制)の有無についてチェックしてください。
みなし残業(固定残業制)が導入されている企業だと、高い給与が一定に得られ、サービス残業などのトラブルが起きにくいです。
一方で、みなし残業(固定残業制)を導入していることで、逆に長時間労働をさせられる可能性もあります。
企業によっては、すでに固定残業代が給与に含まれているから長時間労働を行わせても良いという誤認が起きるケースも多いです。
そのため、みなし残業(固定残業制)を導入しているのであれば、無時間分の残業代が含まれているのかはよく確認してください。
② SES(客先常駐型企業)の見極め
SESとはシステムエンジニアリングサービスの略で、IT業界でよく行われている客先の企業様に常駐している働き方です。
SES企業では、さまざまなプロジェクトを経験できる、未経験でも就職しやすい点が特徴といえます。
優良のSES企業であれば、しっかりと教育制度が整えられているので、働きながらスキルを学べ、スキルアップもできるでしょう。
企業とのコネクション、人脈を作ることも可能です。
③ スキルアップ環境の確認
IT業界は、スキルをたくさん持っていることによって年収も上がっていく業種です。
企業によっては、内外部研修制度を行っていたり、書籍購入補助やAWS認定や基本情報技術者といった資格取得支援などを行っているケースもあります。
このようなスキルアップ環境が充実しているかどうかは、自身の成長に大きく影響するため十分に考慮しなくてはいけません。
また、最新技術に触れる機会があるのかも重要で、新しい技術を知ることはスキルアップの一因となり、業務にも良い影響を与えます。
一方で、このようなスキルアップ制度などが整っていなければ、成長にはつながらず、モチベーション維持も難しいでしょう。
気になる企業がどのようなスキルアップ環境を整えているのかについて、よくチェックしてください。
④ 年収・待遇の確認
働く上で重要な年収・待遇の確認も必ず行いましょう。
企業の平均年収を就活サイトのデータや口コミサイトを参考にして調べ、残業代はしっかり払われるのかを確認することも大事です。
残業代に関しては、みなし残業(固定残業制)なのか時間で計算されるのかを確認しておきましょう。
そのほか、リモートワークやフレックス制度など、柔軟な働き方や従業員のことを考慮した福利厚生が整えられているのかも重要です。
まとめ
IT業界は1つにまとめられるわけではなく、いくつかの分類に分かれます。
技術系だけではなく、コンサル系の仕事もあるため、実際に自分がどのような職種で働いてみたいのかについてはよく考えてみましょう。
職種によって、特徴も必要なスキルも異なるので、今回解説した内容を参考にしていただき、IT業界での活躍を目指してください。