就活の山場となる面接では、評価されるのは「話の内容」だけではありません。入室の仕方や姿勢、カバンの置き方など、基本的なマナー一つで面接官の印象は大きく左右されます。
たかがマナーと侮っていると、せっかく質問内容などを完璧に準備してきたものがムダになってしまいます。
面接官は入退室の所作をしっかり見ているものであり、注意する必要があるものです。
そこで、面接の通過率を高めるための一般的なマナーや振る舞い、面接官の見ているポイントやNGパターンを徹底解説していきます。
面接が始まる前から選考スタート? 入室前の準備マナー
面接での第一印象は、面接室に入った瞬間ではなく、控室での所作やドア前での行動から始まっているものです。企業の人事担当者や受付スタッフは、面接開始前の行動を含めて就活生をしっかり観察しています。
そのため、控室での待ち方や入室前の振る舞いは、面接選考の通過率にも大きく関わってきます。
控室の振る舞いも慎重に
・スマホはマナーモードor電源オフが基本
面接会場に到着したら、最初に確認しなくてはならないのが携帯電話(スマホ)の設定です。控室は静かな雰囲気になっている場合が多く、着信音や通知音が鳴ると、自分だけでなく、他の就活生や企業の担当者にも迷惑がかかります。
会場に着くまでは地図や電車・バスの時刻表を確認する場合もあるでしょうし、受付でQRコードを使った本人確認を行っている企業もあります。
そのため、ついスマホをマナーモードにするのを忘れてしまったという人もいるでしょう。せめて控室に入室したときには電源をオフにしておくと安心です。
・静かな態度で待機する
控室や待機場所では、静かに待つのが基本です。新卒となる以上、いつまでも子どもとして扱われず、当たり前ですが社会人の一人としてマナーが問われます。
大声で会話をする、足を組む、貧乏ゆすりをするなどの行動はNGです。たとえ、隣に座っている人が知人でも、私語は慎むようにしながら、会話する場合でも声のトーンを落とすなど周囲に配慮するようにしましょう。
・ 姿勢にも気を配る
控室や待機場所には椅子が用意されています。座っているときの姿勢が「だらしない」「緊張感がない」と感じられると、面接前に悪印象となってしまいます。
面接官が急にドアを開けて外を確認することもあれば、他のスタッフが近くに待機している場合もあります。
どこで見られているか分からないので、背筋を伸ばして手は膝の上に置くという姿勢を意識するようにしましょう。目を閉じたままだと寝ていると勘違いされてしまう可能性があります。
面接室に入る直前はドアの対応もマナーが必要
・ ノックは「3回」が基本
面接室に入る際のノックは、意外と多くの人が間違えやすいポイントです。なんとなく身についている所作として、「2回ノック=トイレの確認」という印象があります。
ただ、面接では3回ノックが常識です。テンポよく、強すぎて相手に不快感を与えない音量でノックしましょう。
・「どうぞ」の声を聞いてからドアを開ける
ノックをしたあと、すぐに扉を開けるのはNGです。これは一般的なマナーともいえますので、多くの人が見についている所作といえます。
ただ、面接室に入る直前というのはかなり緊張しているものなので、ノックしてからすぐにドアを開けてしまう可能性があります。
面接官が「どうぞ」「お入りください」と言ってから、「失礼します」と室内の人に聞こえるようにしてから静かに扉を開けるようにしましょう。
待たされても焦らず、相手の指示を待つことが大切です。勝手な判断で動かないことが、ビジネスマナーにおいて非常に重要です。
・ 扉の開け方・閉め方にも神経を使う
扉は両手で静かに開閉するのが正解です。片手で勢いよく開けたり、バタンと音を立てて閉めるのは面接官を驚かせて最悪の印象を与えます。
ドアを開けたときに中の面接官と目が合ったら会釈するのもポイントです。ドアはゆっくりと閉めるようにしてください。
入室直前にやっておきたい3つのセルフチェック
- 身だしなみの最終チェック
面接には身だしなみが重要です。鏡を使って、ネクタイの曲がり、髪の乱れ、ジャケットのボタンの留め忘れなどをチェックします。緊張で身だしなみに気が回らなくなるため、直前に必ず見直しましょう。
鏡を用意していない場合、スマホのインカメラで確認するようにし、そのときには通知のチェックなどはしないようにしてください。 - 深呼吸で緊張を整える
入室直前は誰でも緊張するものです。深呼吸を1回ゆっくり行うことで、表情が和らぎ、声も出しやすくなります。緊張したときの深呼吸は幼少のころからの定番といえますが、落ち着いた所作が面接全体の空気を良くします。 - 最初の言葉を確認する
入室時の「失礼いたします」「○○大学の△△と申します」といった言葉は、しっかりと口に出して練習しておくと安心です。控室には他にも就活生が複数人いる場合もありますが、みんな同じように緊張しているので問題ありません。
小声でもいいので、口をハッキリと開けて声を出す仕草をリハーサルしておくと、焦らず話せるようになります。
ここで差がつく!準備段階でのNG行動例
● NG行動
・スマホを操作している:
社会人としての意識が疑われます。基本は電源OFFでバッグの中へしまうようにしましょう。鏡の代わりとして身だしなみのチェックをする場合は、たとえ通知があったとしても、指のタップで何か操作していると思われてしまうので注意してください。
・足を投げ出して待っている:
緊張感が欠如して態度が悪いと見なされます。姿勢よく、静かに待つようにしてください。
・ノックが弱すぎる/強すぎる:
弱いと相手に聞こえない可能性がありますし、強いと不快感を与えてしまいます。ちょうどよい音量で3回ノックする練習を事前にしておきましょう。
・返答を待たずに扉を開ける:
指示を聞けない人と思われます。「どうぞ」、「お入りください」の声を待ってください。
ドアの前での印象が面接全体に与える影響
面接官は最初の数秒間でその人の印象を8割以上決めるといわれています。就活生が緊張しているのは面接官も周知ですので、その中でも「基本的な礼儀」が自然にできるかどうかが、その後の受け答えや態度にも信頼感を与えます。
「入室前にどれだけ準備と意識を持っていたか」は、そのまま「ビジネスパーソンとしての資質」として評価されるでしょう。
面接で第一印象を決定づけるマナー
面接での第一印象は会話ではなく、就活生のマナーといえます。面接官によっては、質疑応答の内容よりも強く記憶に残ることがあります。
第一印象は入室時である程度決まってしまいます。面接官は「社会人としての基本動作が身についているか」を最初に判断します。
そこで、入室時の大事なマナーを解説していきます。
入室の流れと台詞例
面接室のドア前からイスに座るまでの理想的な流れを解説します。台詞例も交えて、具体的に紹介していきます。
①入室 ノック → 入室 → 一礼 → 名乗る
【手順】
- ノックを3回(テンポよく)
- 「どうぞ」(「お入りください」)と言われたら、「失礼します」と答え、ドアを開けて入室
- ドアを静かに閉めて振り返る
- その場で一礼し、名前を名乗る
【台詞例】
「○○大学の△△と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
② 面接官に注目を向けながら前へ進む
視線を落とさず、面接官の目を見ながら歩きましょう。歩幅を狭めて静かに歩き、焦らず、落ち着いた態度を心がけることが重要です。
③ 椅子の横に立ち、面接官の指示を待つ
イスの左側に立ち、「おかけください」と言われるまで座ってはいけません。椅子の前で、軽く手を前に添えて立つと、丁寧な印象になります。
【台詞例(座るとき)】
「失礼いたします。」と一言添えてから静かに座ります。
ドアの閉め方にも注意する
意外と多いのが「ドアの閉め方が雑」な人です。せっかくノックや挨拶が丁寧でも、ここでバタンと音を立てると評価が一気に下がります。
・正しい閉め方のポイント
1.両手で静かに持ち、最後まで手を添える
2.背中を向けて閉めない(ドアに対して正面を向く)
3.音を立てず「そっと」閉める
名乗り方と声のトーンで印象が決まる
面接官が最初に受け取るのは、就活生の「声の印象」、いわゆる第一声です。元気すぎて空回りするのも、声が小さすぎて聞き取れないのもNGです。
●理想的な名乗り方のコツ
・相手の目を見る(視線を逸らさない)
・姿勢を正す(胸を張り、軽くあごを引く)
・ハキハキと、語尾まで明瞭に話す
●台詞例
「失礼いたします。○○大学○○学部の□□と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
「○○大学の□□と申します。貴社の選考に参加できることを、大変光栄に思っております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
超えのトーンは自分では分からないので、事前の練習で第三者に確認してもらうのがベストです。そのときも面接室のような広さを意識しておきましょう。
入室時に緊張しない対処法
面接は、どんなに準備をしていても、本番では緊張するものです。入室時に緊張を緩和できる対処法を覚えておきましょう。
・ 緊張していることを素直に伝える
「少々緊張しておりますが、よろしくお願いいたします」と言うことで、誠実さが伝わります。担当者は何百人と面接を経験しているだけに、目の前の就活生が緊張しているのは分かっているものです。
正直に説明された方が、好感を抱く場合があります。
・笑顔+深呼吸
入室直前や椅子の横で立っている間に、1回だけ深呼吸を入れることで、表情が和らいで声も出しやすくなります。
また、不自然にならないように、口角を上げて「微笑む意識」を持つだけでも印象は大きく変わります。
面接の練習でも意識付けするようにしておきましょう。
カバンの置き方・持ち方のマナー
面接では「身だしなみ」や「受け答え」といった目立つ要素に注目しがちですが、実はカバンの扱いも面接官はしっかり見ています。持ち方・置き方・選び方にまで気を配っている学生は意外と少なく、それだけにマナーができていると印象に残りやすくなります。
また、企業の採用担当者はカバンの扱い方を仕事で使う物や道具として評価しているケースがあります。
入室時のカバンの持ち方は利き手と反対
ノックとドア操作を意識した持ち方が基本です。ドアをノックする場合と反対の手にカバンを持ちますので、ドアを閉めるときにはサッとカバンを持ち替える意識をもってください。
間違っても肩にかけて入室するようなことはしないように気を付けましょう。床に当たってしまうような、ぶらんとした格好ではなく、引きずるようなことはしないように注意してください。
また、スマホや鏡を入れ直して、そのままカバンが開いたままになっていないかも確認しておきましょう。
椅子の横にカバンを置く正しい位置と角度
面接官に「おかけください」と言われて着席する前、カバンをどこに置くか迷う人は多いものです。
正解は「椅子の右足元・縦置き」です。
ポイントは下記になります。
・椅子の右側(自分の利き手側)に、カバンを立てて置く
・イスの真下や通路側ではなく、「足元寄り・自分の管理下」に置く
・カバンの前面が面接官の方を向かないように、横向きにするのが一般的
印象が下がってしまう?NGなカバンの扱い方
人事担当者は、言葉以上に「動作」「身のこなし」から人柄を見ています。以下のような行為は、小さなことのようでも大きな減点対象になりかねません。
●NG行動
・イスの上にカバンを置く:
「非常識」「空気が読めない」と思われます。
・床に寝かせて置く
「だらしない」という印象を与えます。
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・カバンが開いたまま
「準備不足」「注意力がない」という印象を抱かれる恐れがあり、仕事にも影響があると判断されがちです。
・カバンを後ろに背負ったまま座る
「マナーが身についていない」と印象が悪くなります。
・自立しないフニャフニャのバッグ
見られている意識が乏しく、「就活に対する意識が低い」と感じられることもあるでしょう。
評価されやすい面接用カバンの選び方
面接官によっては、カバンの中身だけでなく、選び方そのものも評価対象になります。
● 理想のカバンの条件
・ A4サイズの書類が余裕をもって入る
・ 自立するタイプ(倒れにくい)
・ 黒・ネイビーなど落ち着いた色
・ 革または合皮、ナイロンなど丈夫な素材
● 避けたいカバンの特徴
・ 大きすぎて邪魔(リュックや旅行用バッグなど)
・ キャラクター柄・派手な色・装飾が多い
・ ヘタっていて型崩れしている
もちろん、面接官によって評価が分かれることもありますが、そもそも、就活は社会人マナーを問われる場ですので、「清潔感」も含めて外見にもしっかりと意識を持つようにしましょう。
面接での座り方・姿勢のマナー
面接中では、面接官に長く見られているのが「座っているときの姿勢と態度」です。どれだけ答えが的確でも、姿勢が悪いだけで“だらしない印象”を与えてしまうこともあります。
就活生が緊張しているのは分かっているとはいえ、姿勢がだらしないと、「社会人マナーは身についていない」と判断されてしまいます。
せっかく受け答えを完璧に進めても、座り方や姿勢で印象はマイナスです。逆に、所作が整っている人は“安心して任せられる印象”を与えることができます。
座るタイミングは「座ってください」の合図を待つ
面接で椅子に座るとき、「どうぞおかけください」などの声を待つのが原則です。
「どうぞ」「お座りください」「おかけください」など、言葉が違うときもありますが、基本は促されてから座るようにします。
たとえ、面接官が椅子に座っていても、「おかけください」と促されるまでは立ったまま待機するのが基本です。自分から座るのはマナー違反とされることがあります。
そして、合図をもらったら「一言」添えてから座るのがマナーです。何も言わずに座ると礼儀知らずという印象を与えてしまい、「失礼します」と一言添えてから着席しましょう。「ありがとうございます」と会釈も付け加えると、これができるだけで「礼儀正しい」という印象を持たれます。
正しい姿勢と手の位置
正しい座り方の基本は下記4つのポイントを崩さないことです。
・背筋を伸ばす(背もたれには寄りかからない)
・椅子の1/3ほどに浅く腰掛ける
・足は揃えて床につける(組まない・開かない)
・手は膝の上に自然に置く(指先を揃える)
この姿勢が保たれていれば、「誠実で落ち着いている」「ビジネスマナーを理解している」という好印象につながります。
● 女性と男性で微妙に異なるポイント
女性と男性の就活生では、微妙に異なるポイントがあります。多様性という感覚が普通にある若い世代でも、面接官によっては大きく印象が異なるケースがあるものです。
・ 女性は膝とつま先を揃えると清楚で品のある印象になる
・ 男性は肩を張りすぎず、自然体で堂々とした姿勢だと自信がある印象を与える
二次面接や最終面接になると、就活生の親と同じ世代が面接官となりやすいものです。年配の世代が評価することを意識しておき、微妙に異なるポイントに注意して面接に臨みましょう。
緊張してもNGとなってしまう座り方や態度一覧
●NG行動
・背もたれに寄りかかる:
「偉そう」「緊張感がない」と人柄で悪い印象を与えてしまいます。
・足を組む/開く
「礼儀を知らない」「だらしない」とマイナス印象を与えてしまい、仕事を安心して任されないとも認識されてしまいます。
・貧乏ゆすり/爪をいじる
「落ち着きがない」と思われてしまい、仕事でも集中力がない人とイメージされてしまいます。
・頭を下げすぎ/猫背
癖が根付いている人もいますが、面接官には「自信がなさそう」「覇気がない」と思われがちです。
・手をポケットに入れる
さすがにどの面接官が担当しても「常識外れ」「学生気分が抜けていない」とマナーの悪さから評価はかなり落ちてしまいます。
面接中に自然体で姿勢を維持するコツ
面接では姿勢を意識しすぎると、肩に力が入り過ぎてしまい、ガチガチに見えてしまう場合もあります。大切なのは「姿勢の美しさと自然さのバランス」です。
姿勢が整っていても、表情がこわばっていたら緊張が伝わってしまいます。口角を上げる意識だけでも印象が変わります。自然な笑顔とアイコンタクトを意識するようにしておき、話すときは、なるべく面接官の目を見て答えましょう。
長時間同じ姿勢で疲れた場合、少しだけ背筋を伸ばし直したり、軽く深呼吸を挟むことで自然にリセットできます。ただし、頻繁に体を揺らして姿勢を直し過ぎるのは「落ち着きがない」とみなされてNGです。
座っている間も“見られている”という意識を忘れずにする
面接は「話している時間」だけが評価されるわけではありません。むしろ、「相手の話を聞いているときの態度」にその人の人間性がにじみ出るものです。
・頷きながら聞く
・リアクションを返す(「はい」「ありがとうございます」など)
・姿勢を崩さず最後まで保つ
このような小さな動作の積み重ねが、面接官の印象を作っていきます。特に説明しているときに頷きがあるだけで、話を聞いてくれている、理解を示そうとしていると評価されやすいでしょう。
面接の退室マナー
面接が終わり、「これでひと安心」と気が緩む瞬間に大きな落とし穴があります。面接官は、就活生の退室までを含めて“人物評価”しているのです。特に社会人としての礼儀や場の読み方が試されるのが退室時です。
せっかく話の内容がよくても、退出時の雑な振る舞いが台無しにしてしまうこともあります。一方で、退室マナーを丁寧にこなせば、「この学生は社会人としての基本ができている」と印象付けることができます。
立ち上がるタイミングと動作は焦らず丁寧に
面接が終了したときに立ち上がるタイミングも評価のポイントとなります。面接終了の合図をしっかり確認するようにしましょう。
面接官が「本日はありがとうございました」「面接は以上です」などの言葉を発したら、その終了のサインを確認してから動くのがマナーです。
こちらから先に「では、失礼します」と立ち上がるのはマナーがなっていないと評価されてしまいます。
立ち上がるときには、「本日はお時間をいただき、ありがとうございました」など一言添えるようにして一礼し、椅子を引きずる音を立てずに静かに立ち上がるようにしましょう。
最後まで気を抜かない!出口での礼と扉の開け閉めと最後の「お辞儀」で好印象
面接が終了して立ち上がると、やっと終わったと緊張から解放されてしまうものです。しかし、最後まで気を抜かずにドアの前で再度お礼を述べて一礼するのがポイントです。
出口に向かう際も猫背にならずに背筋を伸ばし、ドアの前で振り返って面接官に向き直りましょう。
必ず一礼してからドアは静かに開けて、両手で閉めるようにします。最後まで見られている意識を持っておき、ドアをバタンと強く閉めないように気をつけてください。
どこで見られているか分からない!会場を出るまで油断しない
会場にもよりますが、面接室を出たあとも、企業の社員とすれ違う可能性があります。トイレに向かう人も多いですが、どこでだれと遭遇するか分からないので十分注意してください。
とくにやりがちなのが、面接室を出てからスマホ操作をする人です。やっと終わったことを知人や家族に知らせたい人もいるでしょうが、これは控えましょう。
控室に一旦戻るときも気を抜かないようにし、帰るときには受付担当者にも丁寧な挨拶を忘れずに行うとベストです。
面接では会場内ですべての行動が見られているという前提で行動することが大切です。
面接マナーのよくあるQ&A
面接に臨む就活生の多くが、細かなマナーについての「これってどうしたらいいのか」という不安や悩みを抱えています。
次に、面接でよくある疑問をピックアップし、その理由と背景、どうすればよいかを解説します。
Q1: リュック型のカバンでも面接に持っていっていいの?
A:
基本はNGです。
リュックはカジュアルな印象が強いため、スーツに合わせるビジネスバッグとしては不適切とされることが多くみられます。
特に金融・メーカー・不動産など、フォーマルさを重んじる業界ではマイナスポイントになります。新卒として入社してからならまだしも、就活の段階ではリュックはなるべく控えるようにしましょう。
ただし、例外的なOKとなるアイテムもあります。IT業界やベンチャー系ではリュックも許容される傾向があります。その場合も「黒やネイビーのシンプルなデザイン」「革やナイロンなど高級感のある素材」など、落ち着いた見た目のものを選ぶことがポイントです。
Q2: 面接室に入るときに靴音が鳴ってしまいそう。どうすればいい?
A:
歩き方と足の運び方を意識することで防げます。
パンプスや革靴は、会議室のような硬い床では音が響きやすいものです。「歩き方」でカバーするようにするのがポイントです。
・足を地面に擦らず、軽く上げて歩く
・かかとから着地せず、足裏全体で静かに下ろす
・ゆっくり目に歩くと音が立ちにくい
これらのポイントを意識しても、多少の音が出てしまうことがあるでしょう。その場合、「姿勢」や「表情」を整えていればマイナス評価にはなりません。面接では、音よりも動作全体の丁寧さが重視されるからです。
Q3: 面接中に緊張して、言葉が出てこなくなったらどうすればいい?
A:
正直に伝えて“誠実さ”を見せるのがベストです。
緊張するのは当然のことといえます。多数の就活生と接してきている面接官もそれを理解しています。
重要なのは、焦ってパニックになるのではなく、「落ち着こうとする姿勢」が見せられるかです。一呼吸おいて会話をつなげるのがコツといえます。
たとえば、「申し訳ありません、少し緊張してしまいまして…。改めてお答えさせていただきます。」というように、言葉に詰まっても正直に伝えることで挽回可能です。
緊張するのはだれでも当たり前であることを認識しておき、改めて伝えるという意識を事前準備の段階から持つようにしておきましょう。
Q4: バッグが自立しなくて倒れてしまうのですが、どうしたらいい?
A:
就活用として「自立型のバッグ」への買い替えがおすすめです。
面接中に何度もカバンが倒れてしまうと、「準備不足」「所作が雑」という印象を与えるリスクがあります。自身も足元が気になってしまい、面接官の質問を聞き逃してしまう恐れがあります。
面接用には自立する硬め素材のバッグ(ナイロン・合皮)を選ぶようにしておき、万が一倒れそうな場合は、カバンの下にハンカチを敷いて滑り止め代わりにするのもコツです。
Q5: 面接官が話している間、どこを見ればいい?
A:
基本は「面接官の目を見る」ことです。
ただし、凝視するのは緊張しやすくなるのでやめましょう。
面接中に面接官が話しているとき、目線が定まらないと「反応が薄い」「聞いていない」と感じられて印象が悪くなる恐れがあります。
目の近くを見るようにしておき、眉間や鼻先、口元などで顔を見ていると緊張を和らぐことができます。
Q6: 面接終了後に「お礼メール」は必要ですか?
A:
一般的には義務もないので、必須ではありません。
丁寧さにつながるので、面接官によっては好印象を与えるケースもあります。
説明会やインターン後とは異なり、面接に対するお礼メールはマナーとして必要ないものです。最終面接などで深い対話があった場合には、感謝の意を伝えるメールを送信することで、誠実さや丁寧さを印象づけることができます。
<例文>
件名:本日の面接のお礼(○○大学・氏名)
○○株式会社 人事部 ○○様
本日はお忙しい中、面接の機会をいただき誠にありがとうございました。
○○大学の□□と申します。
本日の面接を通じて、貴社の○○という姿勢に一層共感いたしました。
今後の選考も、よろしくお願い申し上げます。
敬具
長い本文はNGですので、簡潔に感謝を伝えるようにしましょう。
まとめ
面接では、話の中身だけでなく「所作」「姿勢」といった社会人マナーが評価対象となります。どれだけ質問の練習を重ねても、何気ない仕草が面接官の印象を悪くすることはあり得ます。
入退室や座り方、カバンの置き方まで、一連の動作を丁寧にこなすことで、礼儀正しさや社会人としての素養が伝わり、通過率の向上にもつながります。
マナーにも十分気を付けて練習し、他の就活生と差を付けるようにしましょう。