就活中、「オフィスカジュアルでお越しください」と言われて、何を着たらいいか迷ったことがある人も多いのではないでしょうか。
オフィスカジュアルは、スーツよりも柔らかい印象の服装でありながら、ビジネスシーンにふさわしいきちんと感が求められます。しかし、その基準は企業によって異なり、「自由」と言われて逆に迷ってしまうものです。
そこで、就活におけるオフィスカジュアルの基準や具体例を、男女別・業界別・シチュエーション別に詳しく解説していきます。
就活でのオフィスカジュアルとは?詳しい基準と具体例
就活における「オフィスカジュアル」とは、清潔感のある服装でありつつ、スーツほど堅苦しくないスタイルのことを指します。最近では、説明会やインターン、内定者懇親会など、オフィスカジュアルが求められる機会が増えてきました。
「オフィスカジュアル」といっても、実はこれといった明確なルールがあるわけではありません。そのため、就活生の中には「どこまでがOKなのか分からない」「私服で行っていいの?」といった疑問を抱える方も多いものです。
次にオフィスカジュアルの一例をみていきましょう。
男性のオフィスカジュアル
まずは、男性が就活でオフィスカジュアルを求められた際に、どのような服装を選べばよいのか、アイテム別に具体例を紹介します。
・基本アイテムと具体例
トップス:
最もオーソドックスなのは、白や淡いブルーなどの無地のワイシャツです。清潔感があり、就活のオフィスカジュアルとして適しています。
また、夏場やクールビズ対応の企業では、シンプルなポロシャツもOKな場合があります。ただし、ポロシャツを選ぶ場合は、ロゴや柄が目立たないデザインを意識しましょう。
ボトムス:
ボトムスは、スラックスを選んでおけば間違いありません。黒やネイビー、グレーといった落ち着いた色のものを選ぶことで、全体の印象が引き締まり、ビジネスらしいスタイルになります。
また、ベージュやネイビーのチノパンも、適度にカジュアルさを出せるアイテムとして人気です。
ジャケット:
ジャケットは、オフィスカジュアルにおいてきちんと感を出すための重要なアイテムです。ネイビーやグレー、黒といった落ち着いた色味のテーラードジャケットを選べば、どのような企業でも好印象を与えることができます。
カーディガンをジャケット代わりにするのもOKですが、ブカブカのサイズや、カジュアルすぎるデザインは避け、体に程よくフィットするシンプルなタイプを選びましょう。
靴:
靴は、オフィスカジュアルにおいて非常に重要なポイントです。基本的には、黒または茶色の革靴を履いておけば間違いありません。ローファーもシンプルなデザインであれば問題ありませんが、あくまで「ビジネスシューズ」に分類されるものを選ぶのが安心です。
ネクタイ:
オフィスカジュアルでは、基本的にネクタイはしなくてもOKです。ただし、面接や重要な企業訪問など、「少しでもフォーマル感を出したい」と思う場面では着用しても問題ありません。
その際は、無地や控えめなストライプ柄など、落ち着いた印象のネクタイを選ぶようにしましょう。
女性のオフィスカジュアル
就活における女性のオフィスカジュアルは、「清潔感」「上品さ」「柔らかさ」の3つがポイントです。スーツよりもややカジュアルな印象を持たせつつ、ビジネスの場にふさわしいきちんと感を保つ必要があります。
服装の自由度があるとはいえ、場にそぐわないアイテムを選ぶと「常識がない」と判断されることもあります。ここでは、女性のオフィスカジュアルにおける基本アイテムとNG例を、アイテム別にわかりやすく解説します。
・基本アイテムと具体例
女性の場合は、「派手すぎず、ラフすぎない」ちょうどいいバランスが大切です。どんな服装を選ぶかで、相手に与える印象も変わってきます。迷ったときは「ベーシックカラー+シンプルなデザイン」を基本に、自分らしさを少しだけプラスしてみましょう。
トップス:
就活のオフィスカジュアルでは、シンプルで清潔感のあるブラウスやシャツが基本です。白や淡いピンク、ベージュといった柔らかい色味は顔まわりを明るく見せ、相手に好印象を与える効果があります。
ブラウスは無地のものを選ぶと、どんな業界でも違和感なく着用できます。襟付きのシャツや、ジャケットの下に着られる薄手のカーディガンも便利なアイテムです。
ボトムス:
ボトムスは、スラックスかミモレ丈のスカートが基本です。黒やグレー、ネイビーといった落ち着いた色味のスラックスは、着回しがきき、どんなトップスとも合わせやすいのでおすすめです。
スカートの場合は、フレアスカートやタイトスカートなど、丈が膝下からふくらはぎにかかるミモレ丈のものを選ぶのがポイントです。
ジャケット:
ジャケットはきちんと感を出すために非常に重要なアイテムです。黒やネイビー、ベージュなどのベーシックカラーのテーラードジャケットであれば、どんなシーンにも対応できます。肩幅や丈感が自分の体型に合ったものを選ぶことで、スタイルも美しく見せることができます。
靴:
足元は、パンプスまたはシンプルなフラットシューズが基本です。パンプスは3〜5cm程度のヒールがあると、足がすっきり見え、全体のバランスも良くなります。ヒールが苦手な方は、ベーシックなフラットシューズでも問題ありません。
アクセサリー:
アクセサリーは、シンプルで控えめなものを選ぶことが大切です。小ぶりのピアスやネックレスであれば、さりげない華やかさを添えることができ好印象を与えます。
ただし、サイズが大きいアクセサリーや光沢が強すぎるもの、ジャラジャラと音が鳴るようなタイプは避けましょう。
オフィスカジュアルを求められる場面
就活中に「オフィスカジュアルでお越しください」と言われる機会は、ここ数年で増加しています。しかし、スーツが基本と思われがちな就職活動では、「どの場面でどの程度のカジュアルさが許されるのか」が分かりづらく、戸惑う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、就活の中でオフィスカジュアルが求められる代表的な場面と、それぞれのシチュエーションにふさわしい服装のポイントを解説していきます。
・企業説明会
企業説明会では、服装に関する指定が特にない場合はスーツでの参加が一般的です。ただし、「服装自由」や「オフィスカジュアルでOK」と記載されているケースも増えており、その場合は必ずしもスーツを着る必要はありません。
オフィスカジュアル指定の場合は、シャツ+スラックス(またはミモレ丈スカート)程度のきれいめな服装で十分です。ジャケットがなくても問題ありませんが、初対面であることを考慮し、落ち着いた色合いの服を選び、清潔感を意識することが大切です。
もし迷った場合は、ジャケットを1枚羽織っておくと、どんな企業でも対応しやすくなります。
・インターンシップ(短期)
1日〜数日間の短期インターンシップでは、スーツが無難とされています。企業によっては「私服でお越しください」と案内されることもありますが、この場合も遊び着のようなラフな服装は避け、オフィスカジュアルを意識した服装が求められます。
特に短期インターンでは、企業側も「きちんとした姿勢」を重視して見ることが多いため、スーツまたはジャケットスタイルのオフィスカジュアルが安心です。職種や業界によって服装の自由度が異なるため、参加企業の社風や過去のインターンの様子などを事前に調べておくと、より適切な判断ができるでしょう。
・インターンシップ(長期)
数週間〜数ヶ月にわたる長期インターンでは、オフィスカジュアルが基本となることが多くなります。学生といえど、日々社員とともに業務を行うため、TPOに合わせたきれいめな服装が求められます。
この場合は、シャツ+スラックス(またはきれいめスカート)、必要に応じてジャケットというスタイルがベースになります。初日は少しフォーマル寄りの格好で出社し、職場の雰囲気を見ながら、徐々に服装を調整していくのがおすすめです。
・面接
就職活動において、面接は最もフォーマルな場面のひとつです。基本的にはリクルートスーツを着用するのが一般的ですが、近年では企業側から「オフィスカジュアルでお越しください」と指定されるケースも増えています。
この場合、ラフになりすぎないよう注意が必要です。テーラードジャケットを取り入れたコーディネートが、面接にふさわしいオフィスカジュアルといえます。トップスは白や淡い色のシャツやブラウスを、ボトムスはスラックスや落ち着いた色のスカートを選ぶと好印象です。
「スーツじゃないと失礼かな」と迷ったら、ジャケットを1枚羽織ることで、きちんと感と安心感のある印象を与えることができます。
・内定後の懇親会
内定をもらった後、企業側が開催する懇親会では、私服での参加が指定されることがよくあります。ただしこの「私服OK」も、あくまでビジネスマナーをわきまえたオフィスカジュアルが基本と考えましょう。
この場面では、リクルートスーツだと少し堅苦しく感じられることもあるので、きれいめな私服=オフィスカジュアルが最適です。例えば、男性ならシャツ+スラックス+ローファー、女性ならブラウス+スカート+パンプスといったスタイルが無難です。
あまりにもカジュアルすぎるジーンズやTシャツ、スニーカーなどは、場の雰囲気にそぐわないことがあるので避けた方がよいでしょう。
業界・業種別のオフィスカジュアルの基準
就活におけるオフィスカジュアルの服装は、企業や業界によって求められるきちんと感の度合いが異なります。一般的には、保守的で伝統を重んじる業界ほどフォーマルな服装が求められ、自由な社風を持つ業界ほどカジュアルなスタイルも許容される傾向にあります。
「オフィスカジュアルOK」と言われても、その意味合いは企業ごとに違うため、自分が志望する業界の特徴を把握しておくことが重要です。ここでは、業界を3つの傾向に分けて、それぞれにふさわしいオフィスカジュアルの基準とコーディネート例を紹介します。
フォーマル寄りの業界
金融、コンサルティング、メーカー、公務員などのフォーマル寄りの業界では、スーツに準じたオフィスカジュアルが求められます。たとえ「服装自由」や「オフィスカジュアルOK」とされていても、ジャケットの着用が必須であったり、ネクタイが推奨されたりすることも珍しくありません。
・金融(銀行、証券、保険):
金融業界は、就活生に最もフォーマルな服装が求められる業界のひとつです。顧客からの信頼を重視する業界であり、特に「誠実さ」「堅実さ」「清潔感」が外見からも強く求められます。
面接や会社説明会では基本的にリクルートスーツがマストですが、「オフィスカジュアルで」と言われた場合も、スーツに近いコーディネートを心がけるのがベストです。
・コンサルティング:
コンサルティング業界は、金融業界と並んでフォーマル度が高い一方で、「スマートさ」や「洗練された印象」も求められるのが特徴です。クライアントとの対話やプレゼンが日常的な業務となるため、シンプルな服装が好まれる傾向にあります。
「スマートな印象」を重視するため、シワやほつれ、毛玉などの細部も気をつけて、常に整った見た目を意識することが求められます。
・メーカー(大手・伝統的な企業):
大手メーカーは、社風が保守的である場合が多く、服装にも「安心感」や「信頼感」が求められます。とくに老舗メーカーでは、スーツ着用が当たり前とされていることもあり、オフィスカジュアルが認められていても、極力フォーマルに近い装いが無難です。
・商社(総合・専門):
商社は、グローバルな取引が多く、外部の人との折衝も頻繁に発生するため、ビジネススタイルに近いオフィスカジュアルが基本です。外資系商社などは多少自由度がある場合もありますが、日本企業ではスーツに準じた服装が主流です。
・公務員・団体職員:
公務員や非営利団体の職員は、安定性・誠実さ・実直さといった印象が重視されるため、服装も堅実で保守的なスタイルが基本です。オフィスカジュアルが認められている場合でも、カジュアル度合いはかなり控えめである必要があります。
・具体的なコーディネート例
フォーマル寄りの業界では、「スーツに準じたきちんと感」をいかに保ちつつ、手持ちのアイテムやリーズナブルなアイテムで対応できるかがカギです。ここでは、コーディネートの参考になるよう、実用性と清潔感を重視したスタイルをいくつか紹介します。
男性:
① 白のシャツ+ネイビーのスラックス+黒の革靴+ネイビーのジャケット
就活の定番コーディネート。無難でありながら清潔感と信頼感があり、どのフォーマル業界にも対応できます。
②サックスブルーのシャツ+グレーのスラックス+黒の革靴+チャコールグレーのジャケット
白シャツよりもやや柔らかい印象を与えられる組み合わせ。真面目さと柔和さをバランスよく演出できます。ユニクロや無印良品のアイテムでも十分対応可能。
③白のボタンダウンシャツ+黒のスラックス+ダークブラウンのレースアップシューズ+ネイビーのカーディガン(細身)
少しフォーマル度が下がりますが、会社説明会や内定後の面談などで着回せるコーディネート。カーディガンはテーラード型のきちんとした印象のものを選ぶと◎。
女性:
①ベージュのブラウス+黒のスラックス+3〜5cmヒールのパンプス+小ぶりのアクセサリー
清楚で落ち着いた印象を与える王道スタイル。トップスのベージュが柔らかい印象を出しつつ、ボトムでしっかり引き締め。
②白の襟付きブラウス+ネイビーの膝丈タイトスカート+黒のパンプス+ネイビージャケット
フォーマルな面接や役員面談にも通用するスタイル。就活用のスーツを上下で活用しながら、インナーで印象を変えられるのがポイント。
③淡いピンクのブラウス+グレーのスラックス+ベージュのローヒール+シンプルなパールネックレス
色味にやや柔らかさを取り入れることで、誠実かつ親しみやすい雰囲気を演出。派手さを抑えた色合わせならフォーマルな業界でも問題ありません。
程よくフォーマルな業界
IT(大手)、広告・マーケティング、不動産、建設、小売本社などの業界は、「スーツほど堅苦しくはないけれど、ラフすぎない服装」が求められる中間層の業界です。いわゆる「きれいめオフィスカジュアル」が主流であり、業務や職種によってはジャケットを省略しても問題ないケースもあります。
とはいえ、就活生にとっては初対面の場や面接、会社説明会などが多いため、「迷ったらジャケットを羽織る」ことが無難な選択です。最低限のビジネスマナーを押さえつつ、少しだけ柔らかさを加えることで、その業界らしい印象を演出できます。
以下に、各業界の服装の傾向と、意識すべきポイントを紹介します。
・IT(大手・エンタープライズ系):
大手のIT企業では、社内の服装自由度が比較的高く、社員はスーツ以外で勤務しているケースも多く見られます。しかし、クライアント対応がある部署や、外部との接点があるポジションでは、きちんとした服装が求められます。
就活生の場合は、シャツ+スラックス(またはチノパン)+ジャケットといった「ややフォーマル寄り」のスタイルが安全です。カジュアルすぎる装いは、「場の空気が読めない」という印象を与えかねないので注意しましょう。
・広告・マーケティング:
広告やマーケティング業界は、クリエイティブな感性や発想力が重視される一方で、外部クライアントとの打ち合わせやプレゼンの機会も多くあります。そのため、個性を出しつつも、清潔感のある服装が好まれます。
色使いや小物に少しだけ個性を加えるのはOKですが、過剰にならないよう注意が必要です。特に就活の場面では、派手な柄物や過度な装飾は避け、「上品なシンプルさ」を意識するのがポイントです。
・不動産・建設:
不動産や建設業界では、外回りや商談が多く、信頼感やきちんと感を見た目から伝えることが重要とされています。職種によって服装に差はありますが、オフィスカジュアルであってもスーツに近いスタイルが基本です。
特に営業職や顧客対応を含む職種では、襟付きシャツ+ジャケット+スラックス(またはスカート)がベスト。社内だけでなく、外に出たときに恥ずかしくない服装かどうかを意識しましょう。
・小売・流通(本社勤務):
店舗スタッフに比べると、バックオフィス業務が中心となる小売や流通の本社勤務では、ややカジュアルな服装も許容される傾向があります。しかし、取引先との打ち合わせや商談がある日などは、フォーマル寄りの服装が求められます。
就活生は企業の雰囲気をまだつかめていない段階なので、初回の訪問や面接では、ジャケットを取り入れたきれいめなオフィスカジュアルを意識しましょう。柔らかい印象を出すことも大切ですが、だらしなく見えないよう注意が必要です。
・具体的なコーディネート例
このようなほどよくフォーマルな業界では、清潔感と柔らかさをバランス良く取り入れたスタイルが求められます。ここでは、就活生が取り入れやすい具体的なコーディネート例を紹介します。
男性:
① ブルーのボタンダウンシャツ+ベージュのチノパン+ブラウンのローファー
ブルーのシャツは爽やかで、柔らかな印象を与える定番アイテム。チノパンはややカジュアルですが、ベージュを選ぶことで明るく親しみやすい雰囲気になります。ローファーを合わせれば、全体が大人っぽく引き締まり、バランスの取れたスタイルに。
②サックスブルーのシャツ+チャコールグレーのスラックス+黒のレースアップシューズ
淡い色味のシャツにダークトーンのスラックスを合わせることで、柔らかさと落ち着きの両立が可能。シャツはノーネクタイでも襟付きならきちんと感が保てます。シンプルながら清潔感のある王道コーディネートです。
② 白のシャツ+ネイビーのカーディガン+グレーのスラックス+ダークブラウンのローファー
寒い季節やクールビズの時期に活躍する、ジャケット代わりのカーディガンスタイル。きれいめなVネックや細身タイプを選べば、ラフになりすぎず柔らかな印象を演出できます。
女性:
①白ブラウス+グレーのミディ丈スカート+シンプルなフラットシューズ
明るいブラウスと落ち着いたスカートの組み合わせは、定番ながら安定感のあるコーディネート。グレーのミディ丈スカートは女性らしさと上品さを演出しつつ、きちんと感も◎。
②ライトブルーのブラウス+ネイビーのテーパードパンツ+黒のパンプス
ライトブルーのブラウスは、清涼感と柔らかさを兼ね備えた万能アイテム。ネイビーのパンツと黒のパンプスで全体を引き締めると、スタイリッシュかつ信頼感のある印象になります。
③ ベージュのとろみシャツ+ブラックのAラインスカート+ローヒールパンプス
素材に少し光沢感のあるとろみシャツを取り入れることで、女性らしくやわらかい雰囲気に。Aラインスカートで程よい動きが出るので、堅すぎず親しみやすい印象を与えられます。
カジュアル寄りの業界
ITベンチャー、Web制作、デザイン、アパレルなどの業界では、他の業界に比べて服装の自由度が非常に高い傾向があります。社員の私服勤務が一般的で、個性を表現するスタイルが好まれることも少なくありません。
とはいえ、「自由=何でもOK」ではありません。就活生として訪問する場面では、清潔感やTPOを意識し、あくまでビジネスマナーの範囲内でのカジュアルさが求められます。ラフすぎる格好は、「常識がない」と受け取られてしまうリスクがあるため注意が必要です。
ここでは、カジュアル寄りの業界におけるオフィスカジュアルのポイントと、具体的な業界ごとの服装の傾向を解説します。
・IT(ベンチャー・スタートアップ):
ベンチャー系のIT企業では、服装自由を掲げている会社も多く、社員の多くがジーンズやスニーカーで働いていることも珍しくありません。ただし、就活生が訪問する際には、きれいめカジュアルを意識した服装が求められます。
具体的には、ポロシャツやシンプルなニット、襟付きのシャツなどにスラックスを合わせるスタイルが安心です。ジャケットがなくてもOKな場合が多いですが、「初めての訪問」や「面接」など、重要なシーンでは少しフォーマル寄りにしておくと無難です。
・デザイン・クリエイティブ(Web・ゲーム・映像):
クリエイティブ系の職種では、「個性」や「感性」が評価される場でもあるため、多少のファッション性は歓迎されることがあります。ただし、ビジネス相手に不快感を与えないことが大前提。TPOをわきまえたセンスある服装が求められます。
日常業務ではカジュアルな服装が許されていても、クライアント対応がある日や面接時には、ジャケットやシャツなどを取り入れたきれいめな服装が好まれます。色使いや小物で個性を出すのはOKですが、過度な装飾やトレンドに寄りすぎたアイテムは避けましょう。
・アパレル・ファッション:
アパレル業界では、ブランドイメージに合わせたコーディネートが求められることが多く、自社ブランドのアイテムを着用して来社することが推奨される場合もあります。企業によっては、ファッションセンスが選考に影響することもあるため、事前のリサーチが非常に重要です。
ただし、ファッション性を重視するあまり、派手になりすぎたり、露出が多くなったりすると逆効果です。トレンド感を取り入れつつも、「上品さ」「清潔感」を忘れない服装が求められます。
・ベンチャー企業(全般):
ベンチャー企業は、業界・職種・規模によって社風が大きく異なります。そのため、企業ごとの雰囲気を事前に把握することが大切です。
基本的には自由な服装が許容される会社が多いですが、就活生としては「少しフォーマル寄りのカジュアル」を意識したスタイルがベスト。最初から社員と同じようなラフな格好をしてしまうと、「空気が読めない」と判断される可能性もあるため、注意が必要です。
・具体的なコーディネート例
自由度の高い業界であっても、オフィスカジュアルの基本は「清潔感」と「TPOをわきまえた服装」。以下に、就活生が取り入れやすい具体的なコーディネート例をご紹介します。
男性:
① ネイビーのポロシャツ+グレーのスラックス+白のスニーカー(きれいめ)
ポロシャツは襟付きなのでカジュアルになりすぎず、リラックス感とビジネス感を両立できます。グレーのスラックスで落ち着いた印象にまとめ、白スニーカーでほどよく抜け感を演出。スニーカーは清潔感のあるものを選びましょう。
②白のシャツ+ベージュのテーパードパンツ+ネイビーのニット+ローファー
きちんと感のある白シャツに、やわらかい色味のパンツと落ち着いたニットを重ねたスタイル。襟付きシャツを活かしつつ、ジャケットよりも軽やかな印象でまとまります。足元はローファーで大人っぽさをプラス。
③グレーのカーディガン+ブラックのスラックス+白のクルーネックTシャツ+黒のレザースニーカー
Tシャツでも、無地で厚手のしっかりしたものを選び、カーディガンやジャケットを羽織れば印象がガラリと変わります。黒のスラックスとレザースニーカーで引き締めれば、カジュアルながらも品のある仕上がりに。
女性:
①黒のシンプルなワンピース+ローファー
無駄のないシルエットと落ち着いた色味がポイントのワンピーススタイル。黒やネイビーなどを選ぶと、品よくきちんとした印象に。ローファーで足元も整え、動きやすさと清潔感を両立できます。
②白のブラウス+ベージュのスラックス+黒のバレエシューズ
清潔感のある白ブラウスと、やわらかなベージュのスラックスで優しい印象に。カチッとしすぎないのに、きちんと感のある配色がポイント。足元はフラットな黒のバレエシューズで、動きやすさと上品さを両立。
② グレーのリブニット+ネイビーのフレアスカート+スエード素材のパンプス
シンプルなリブニットは上品に見えるうえ、寒暖差のある季節にも便利。フレアスカートは動きやすく、やわらかい印象を与えるので接客業や女性の多い職場にも向いています。足元は落ち着いた素材感のパンプスを選んで、季節感と品格を演出。
就活におけるオフィスカジュアルの注意点(業界・場面別)
そもそもオフィスカジュアルに明確な定義はなく、企業や業界によって求められる服装のレベル感が大きく異なります。そのため、「カジュアルすぎて浮いてしまった」「スーツで行ったら逆に堅苦しかった」など、ちょっとしたミスで印象が左右されることもあります。
ここでは、就活中にオフィスカジュアルで臨む際の注意点を、具体的なシーンや性別、季節ごとに分けて詳しく解説します。
① 企業ごとの服装基準を事前に確認する
「オフィスカジュアルOK」と案内があった場合でも、それが「私服でOK」とイコールではないことに注意が必要です。とくにスタートアップやベンチャー企業では社員の服装が自由でも、就活生にはきちんと感がある服装が求められることが多いです。
・注意点
・「オフィスカジュアル=私服OK」ではない
私服OKといっても、ジーンズ・Tシャツ・パーカーのような普段着レベルの服装は、ほとんどの企業でNGです。あくまで「ビジネスの場にふさわしい服装」である必要があります。
・自由な社風でも初対面はきちんと感が重要
スタートアップやベンチャー企業など、普段の服装が自由な会社でも、面接や会社説明会では最低限のきちんと感が求められます。社員がラフだからといって、自分も同じようにしてよいとは限りません。
・企業によっては明確な服装ルールがある
「襟付きのシャツを着用」「ジャケット推奨」「スニーカーは不可」など、表には出ていないルールが存在する場合も。見た目に気を使えるかどうかは、社会人としての基本的なマナーと捉えられています。
・対策
・会社説明会やインターンで社員の服装を観察する
実際に働いている社員の服装を見ることで、その企業がどのような服装を許容しているかがわかります。カジュアルOKと言いつつも、ほとんどの社員がジャケットを着ているなら、自分もそれに合わせるべきです。
・企業の公式サイト・採用ページ・SNSをチェックする
社員インタビューやオフィスの紹介ページ、採用ブログなどに掲載されている写真から、職場の雰囲気を掴めます。InstagramやYouTubeでオフィス紹介をしている企業もあるため、視覚的に確認するのがおすすめです。
・OB・OG訪問や就活コミュニティを活用する
同じ企業に応募した経験のある先輩に話を聞ければ、実際の服装事情をよりリアルに知ることができます。特に「この企業、面接のときどのくらいフォーマルな格好していきましたか?」と聞くのは効果的です。
② 清潔感が最重要
オフィスカジュアルにおいて、もっとも大切なポイントのひとつが「清潔感」です。いくら高価な服を着ていても、シワや汚れ、毛玉があれば印象は台無し。特に就活中は、見た目から受ける第一印象がそのまま評価に直結することもあるため、細部までしっかりと手入れされた服装を心がけましょう。
シャツやパンツにはアイロンをかけてシワを伸ばし、毛玉やほつれがあるアイテムは避けるのが基本です。特にニットやカーディガンなどは、毛玉がついていると不衛生な印象を与えてしまいます。
また、靴も服装の一部として見られています。スニーカーでOKな場面でも、汚れが目立っていたり、履き古した印象のあるものは避けましょう。しっかりと磨き、清潔な状態を保つことが大切です。
「カジュアル=ラフな服装」ではなく、ビジネスの場にふさわしいカジュアルを意識することが大切です。
③ 業界・企業ごとの「カジュアル度」を見極める
オフィスカジュアルの許容範囲は、業界や企業の社風によって大きく異なります。そのため、「オフィスカジュアルOK」と書かれていても、そのまま信じてカジュアルすぎる格好で行ってしまうと、場違いな印象を与えてしまうことがあります。
ここでは、業界ごとの一般的なカジュアル度を簡単にご紹介します。
・フォーマル度が高い業界(スーツ寄り)
• 金融(銀行・証券・保険)
• コンサルティング
• メーカー(伝統的な企業)
• 商社
• 公務員・団体職員
これらの業界では、「ジャケット+シャツ+スラックス(またはスカート)」が基本です。オフィスカジュアルが認められていても、ほとんどスーツと変わらないようなスタイルが求められます。
・中間(バランス型)
• IT(大手)
• 広告・マーケティン
• 不動産・建設
• 小売・流通(本社勤務)
この層では、「襟付きシャツ+スラックス or チノパン」といったスタイルや、落ち着いた色味のカジュアルジャケットがよく選ばれます。ジャケットなしでも許される場合がある一方、基本的なビジネスマナーを踏まえた服装が求められます。
・カジュアル度が高い業界
• IT(スタートアップ・ベンチャー)
• Web・ゲーム・デザイン・映像
• アパレル・ファッション
自由な服装が許されやすい業界では、「ポロシャツ+スラックス」や「シンプルなニット+キレイめパンツ」といったスタイルも可能です。ただし、Tシャツ・短パン・サンダルなどの極端にカジュアルな格好は、どれだけ服装が自由な会社でも、就活の場では避けるのが無難です。
④ 男女別でNGになりやすいアイテムと避けるべき服装
オフィスカジュアルでは「これはアウト」という明確な基準が少ないぶん、選び方を間違えると悪目立ちしてしまうことも。ここでは、就活で避けたいNGアイテムを男女別にご紹介します。
・男性のNGアイテム
Tシャツやトレーナーはカジュアルすぎてビジネスには不向き。ダメージジーンズや色落ちジーンズ、短パンも清潔感やきちんと感を損なうためNGです。派手な柄やロゴ入りシャツもTPOに合わず悪目立ちする可能性があります。スニーカーやサンダルなどラフな靴も避け、落ち着いたビジネス向きの服装を心がけましょう。
・女性のNGアイテム
ノースリーブやキャミソールなど露出が多い服は面接や企業訪問では避けるべきです。ミニスカートやタイトな服はセクシーすぎる印象に。派手な柄や蛍光色の服もTPOに合わず不適切です。スニーカーやサンダルはカジュアルすぎ、大ぶりなアクセサリーや濃すぎるメイクもビジネスでは控えるのがマナーです。
⑤ 企業訪問・面接・インターンごとの服装ポイント
就活中にオフィスカジュアルで訪問する機会は多いですが、その場面によって服装のきちんと度を調整する必要があります。以下は、主なシーンごとの服装のポイントです。
1.会社説明会・企業訪問:スーツorオフィスカジュアル:
「服装自由」「オフィスカジュアルOK」と書かれていても、迷ったらスーツが無難です。相手企業の雰囲気を把握するまでは、ややフォーマル寄りを意識すると安心です。
2.面接(オフィスカジュアル指定):ジャケット+スラックス:
「ジャケット+スラックス(またはスカート)」の組み合わせを基本に。カジュアルすぎる服装は避けて、誠実さが伝わるきちんとした装いを心がけましょう。
3.短期インターン:スーツが無難:
服装に迷った場合は、リクルートスーツや、ジャケットを取り入れたきれいめのビジネスカジュアルが安心。最初の印象が重要な場面なので、ややフォーマル寄りを意識しましょう。
4.長期インターン:オフィスカジュアル:
長期インターンでは、普段の勤務はオフィスカジュアルで問題ない場合が多いです。ただし初日は、社内の雰囲気や他の社員の服装がまだわからないため、ややフォーマルな装いで行くのが無難です。自分だけ浮いてしまわないよう、現場に合わせて柔軟に調整しましょう。
5.内定後の懇親会:きれいめカジュアル:
内定者同士や社員と交流する懇親会では、ややカジュアルな服装も許容されますが、「ラフすぎないきれいめカジュアル」が基本です。リラックスした雰囲気を演出しつつも、社会人としての自覚を持った清潔感ある服装を心がけましょう。迷ったらスラックス+ブラウス+ジャケットがおすすめです。
季節ごとの服装の注意点
就活は季節を問わず行われるため、気温や天候に合わせた服装の工夫も必要です。ただし、どの季節であっても「清潔感」と「TPOをわきまえた印象」は最優先。快適さを確保しつつ、ビジネスの場にふさわしいスタイルを心がけましょう。
・夏(暑い時期)
夏場はクールビズを導入している企業も多く、ジャケットなしのオフィスカジュアルが許容される場合があります。とはいえ、ラフになりすぎないよう注意が必要です。
たとえばポロシャツを着る場合は、無地でシンプルなデザインを選び、襟元がきちんと整っているものを選ぶと良いでしょう。TシャツやタンクトップはNGです。
また、汗じみが目立つグレー系のシャツやブラウスは避け、淡いブルーやホワイトなど、清涼感のある色味を選ぶのがおすすめです。汗対策用のインナーを活用したり、通気性の良い素材を取り入れたりと、見た目と快適さのバランスも意識しましょう。
・冬(寒い時期)
寒い季節は防寒対策も大切ですが、見た目のビジネス感が損なわれないよう配慮が必要です。厚手のジャケットやウールコートは問題ありませんが、カジュアルすぎるダウンジャケットやスポーツ系のアウターは避けましょう。
室内ではセーターやカーディガンを着用しても問題ありませんが、ビビッドなカラーや派手な柄は避け、落ち着いたトーンのものを選ぶのが無難です。暗めのネイビー、チャコールグレー、ベージュなどが使いやすいでしょう。
また、手袋やマフラーなどの冬小物を使う場合も、シンプルなデザインや色合いを選び、全体のトーンを揃えることで、清潔感と統一感のある印象を与えることができます。
まとめ
就活のオフィスカジュアルは、清潔感とビジネスマナーを兼ね備えた服装が基本です。業界や企業によって基準は異なるため、事前に雰囲気を調べ、シーンに合わせて選ぶことが重要です。迷ったら本記事を参考に、好印象を与える装いを準備しましょう。