エントリーシートに書く「趣味・特技」欄、空欄にしていませんか？

就職活動では、エントリーシートや履歴書に「趣味・特技」を書く欄が設けられていることがほとんどです。しかし、多くの学生がこの項目を軽視し、「特になし」や「読書」「音楽鑑賞」といった抽象的な表現で済ませてしまいます。
「どうせ見られていない」「学業やアルバイト経験の方が大事」と思い込みがちですが、実はこの欄には、あなたの“人となり”を伝えるための大きなチャンスが詰まっています。

企業は、スキルだけでなく「一緒に働きたいかどうか」や「価値観が合うかどうか」も選考の大事な要素としています。だからこそ、学歴やガクチカでは見えない側面――すなわちあなたの個性や性格、熱中できるものの傾向が垣間見える「趣味・特技」欄は、意外とチェックされています。

「趣味・特技」が評価されるケースとは？

「趣味や特技って、面接で話す機会なんてあるの？」と疑問を持つ人もいるかもしれません。実際、多くの企業で以下のようなタイミングで話題に上がります。

面接の冒頭で使われる“アイスブレイク”

面接官は、初対面の学生といきなり緊張感のある質問に入るのではなく、場を和ませるために「趣味は？」といった軽い話題からスタートすることがあります。このとき、趣味の話が広がれば「話しやすい人だな」という第一印象につながり、後のやりとりにも好影響を与える可能性があります。

志望動機やガクチカの補強材料になる

趣味や特技が志望職種と関連していれば、それ自体が志望理由の説得力を高める武器になります。たとえば、広告業界を目指す学生が「休日は街の看板やポスターを撮影して自分なりに分析するのが趣味」と話せば、その企業に対する感度や興味関心の高さが伝わります。

「強み」の裏付けになることがある

自己PRで「集中力があります」「地道な努力ができます」と語るだけでは説得力に欠けますが、たとえば「将棋が趣味で、毎日定石を研究している」といった趣味が添えられていれば、行動に裏付けが出て印象が強くなります。強みを補完する材料として、趣味・特技が活きるというわけです。

就活で有利になりやすい趣味・特技の傾向

もちろん、どんな趣味・特技でも評価されるとは限りません。しかし、「話が広がりやすい」「印象が良くなりやすい」ジャンルはいくつか存在します。以下に、その代表例を紹介します。

継続性があるもの

たとえば「5年以上ピアノを続けている」「高校から現在までフットサルをしている」など、一貫して継続してきた経験は、それ自体が忍耐力や習慣化の象徴と受け取られます。「継続して取り組める人＝入社後も努力できる人」という評価にもつながるのです。

チーム性やコミュニケーションが見えるもの

趣味が「バンド活動」や「ボランティア」「オンラインゲームのチーム戦」など、他者と協力する性質を持っている場合は、コミュニケーション能力や協調性をアピールするきっかけになります。

知的好奇心が伝わるもの

たとえば「経済ニュースを毎日チェックして、自分なりの要約をブログにまとめている」などは、知的好奇心や分析力、自己研鑽の姿勢を示す趣味です。こうしたタイプは、業界を問わずプラスに働くことが多いです。

一見評価されにくい趣味を活かすコツ

「映画鑑賞」「カフェ巡り」「ショッピング」など、一見するとありふれた趣味でも、言い方や掘り下げ方次第で十分アピール可能です。

ポイントは“具体性”と“行動の理由”

たとえば、「映画鑑賞」が趣味だとしても、「ジャンル問わず年間100本以上観て、感情表現の研究をしています」や、「自分で観た映画のレビューをInstagramに投稿し、フォロワーが500人います」など、どのくらい熱量を持って取り組んでいるかを示すことで、個性として伝わります。

また、「なぜそれにハマっているのか」「そこから何を学んだか」まで説明できると、単なる趣味から“価値ある体験”に変わります。

まとめ：趣味・特技は“個性”を映す鏡

✅ 趣味・特技は「面接の冒頭」「志望動機の補完」「強みの証明」に使える便利な武器

✅ 継続性・協調性・知的好奇心が伝わる趣味は、特にプラス評価されやすい

✅ 一見普通の趣味でも、“具体的に・熱意を持って語れるか”がカギ

就活における「特技」とは何か？

就職活動における「特技」とは、単にスポーツや芸術が上手いことを意味するものではありません。多くの学生が「運動神経がよくないから特技がない」「楽器ができないから書けない」と悩みますが、それは誤解です。

企業が見ているのは、「この学生がどんなことに熱中し、どんな力を身につけてきたのか」という行動の裏側にある“人柄”です。つまり、自分で工夫しながら何かを継続した経験や、何かを成し遂げた経験があれば、それは立派な特技になります。

「よくある特技」はどう差別化する？

特技としてよく挙げられるものには以下のような例があります。

タイピングが速い

料理が得意

英語が話せる

ピアノが弾ける

長距離走が得意

これらは一般的であるがゆえに、「本当に自分の強みとして伝わるか？」という不安が出てきます。しかし、特技が他人とかぶること自体は問題ではありません。どのように話すか・伝えるかが決定的に重要です。

具体性とエピソードで差がつく

たとえば「タイピングが得意」とする場合、以下のように内容を膨らませると伝わり方が変わります。

NG例：「タイピングが得意です。ブラインドタッチができます。」
OK例：「タイピングが特技で、eタイピングでは常にスコアA以上を維持しています。大学のゼミで議事録を担当し、10人分の発言を即時記録するなど、スピードと正確性を活かしてきました。」

同じ特技でも、「実際の数値・実績・活用場面」があると、一気に説得力が増すのです。

特技は「業務に活かせる」視点で語ると強い

評価される特技には共通点があります。それは「仕事にも応用できそう」と面接官に思わせる力があることです。

特技のビジネス的解釈とは？

例えば、以下のような解釈の転換が効果的です。

【特技】料理 → 【解釈】段取り力・継続力・創意工夫の習慣

【特技】バスケ → 【解釈】チームでの役割意識・状況判断力・継続力

【特技】イラスト → 【解釈】観察力・集中力・表現力・自己研鑽力

重要なのは、「この特技から何が得られたのか？」を面接官の立場で考えることです。
特技がそのまま業務内容に直結しなくても、汎用的な能力が見えれば十分にプラスになります。

“特技なし”と感じている人がやるべきこと

「自分には特技がない」と思っている人は、まず以下の観点で振り返ってみてください。

1. 過去の継続経験

中学・高校・大学の中で、長期間取り組んできたものがある場合、それは特技として整理できます。部活動、趣味、バイト、勉強、資格取得など、「3年以上続けたこと」は十分な実績といえます。

2. 周囲からよく褒められること

「友達によく相談される」「説明が上手だとよく言われる」など、他人からのフィードバックもヒントになります。自分では当たり前に思っていることも、他人にとっては「それ、才能だよ」と思われている可能性があります。

3. 無意識でやっていること

「電車で広告を見ると勝手にキャッチコピーを考えてしまう」「Excelの表を無駄に整えたくなる」など、自分にとって自然な行動が、実は特技につながっていることがあります。

実際の就活での使い方：ESと面接での見せ方

エントリーシートでは「成果＋背景」

ESでは、以下のような構成を意識すると読み手に伝わりやすくなります。

結論（私は◯◯という特技があります）

具体例（それを活かして◯◯をしてきました）

得たこと（その経験から◯◯が身につきました）

志望職種への応用（この強みを仕事に活かしたいです）

例：
「私の特技は料理です。週5日自炊を5年間継続しており、食材の使い回しや時間の使い方を工夫する中で、段取り力と継続力を身につけました。これらの能力は、仕事の中でも時間管理や同時並行処理に活かせると考えています。」

面接では「話のネタ」として使う

面接では、特技が緊張をほぐす会話の糸口として使われることが多いため、話が膨らみやすいように準備しておくことが大切です。以下のような内容を押さえておくとよいでしょう。

なぜその特技に取り組むようになったのか

どのようにスキルを磨いてきたか

他人と比べてどのくらいのレベルか（数値・実績）

特技を通じて学んだこと・変わったこと

まとめ：特技は「工夫」と「伝え方」で魅力に変わる

✅ 特技は「上手いこと」ではなく「取り組んできた姿勢」に価値がある

✅ よくある特技でも、具体例・実績・ビジネス視点で語れば差別化できる

✅ 「ない」と感じる人こそ、日常や過去を振り返ることが大切

✅ ESや面接では、“行動→学び→活かし方”の流れで語ると伝わりやすい

「誰でも言える趣味・特技」でも武器になる理由

就活生の多くが、ESや面接で「趣味・特技」として記載するのは、「音楽鑑賞」「読書」「スポーツ観戦」「カフェ巡り」など、どこかで聞いたことのあるものばかりです。一見すると「他人と被ってしまう」「印象に残らない」と思われがちですが、重要なのは“題材”よりも“伝え方”です。

ありきたりな趣味であっても、自分だけの視点・掘り下げ方・実践内容を付け加えることで、唯一無二のアピールに変えることができます。企業の人事担当者は、“内容の珍しさ”よりも、“取り組み方の深さ”や“考え方の軸”を見ているのです。

具体例で学ぶ：「趣味・特技」の掘り下げ変換術

例1：「読書」→情報収集・要約力・インプット習慣

NG例：「読書が好きです」
OK例：「読書が趣味で、年間100冊以上読み、読後は要点を自作のブログで要約・発信しています。書籍の要点を短時間で抽出する練習を繰り返すことで、文章から本質をつかむ力が身につきました。」

このように、どのように読んでいるか／何を得ているか／その後にどう活用しているかまで伝えると、「行動→思考→成長」のストーリーが見え、説得力が増します。

例2：「音楽鑑賞」→感性・好奇心・共感力

NG例：「音楽鑑賞が趣味です」
OK例：「ジャンルを問わず音楽を聴くのが好きで、毎週1曲ずつ“今週のベスト”をSNSで発信し、共感を集める取り組みを1年以上継続しています。音楽の感性だけでなく、他者と感情を共有する方法を学びました。」

“ただの趣味”で終わらせずに、社会との接点や習慣化・継続の事実を入れることで、面接官の目にとまる内容に昇華されます。

差別化の3ステップ：平凡な趣味を魅力に変える方法

Step1：自分だけの「こだわり」を見つける

たとえば、「ラーメンが好き」でも「週に3店舗新規開拓し、味・接客・提供スピードを5段階で評価してまとめている」とすれば、リサーチ力・評価視点・継続力が読み取れます。ポイントは、「趣味にどう向き合っているか」にこだわりを持つことです。

Step2：定量化できる成果を加える

継続日数・頻度・成果物（例：SNSフォロワー数、ブログ記事数、参加回数など）など、数値で示せるものはなるべく使いましょう。数字が入ると一気に“経験”としての信頼度が高まり、再現性や説得力が増します。

Step3：企業にとっての価値に言い換える

最後に、面接官が「この人は入社後に活躍してくれそうだ」と感じるよう、汎用性のある能力に変換しましょう。
「カフェ巡り」→「観察力」「店舗マーケティングへの関心」
「映画鑑賞」→「感性」「構成力」「作品分析力」
といったように、自分なりの解釈を加えることで、一歩踏み込んだ内容になります。

面接で差がつく「趣味・特技」トークの型

ESでは文字数制限がありますが、面接では深掘りされる場面も多くなります。そこで有効なのが、以下の“4つの流れ”です。

① なぜ始めたのか（きっかけ）

例：「大学2年のときにストレス解消のためにランニングを始めました。」

② どう工夫・継続してきたか

例：「最初は週1回でしたが、アプリで走行距離を記録しながら継続し、現在はハーフマラソン完走を目指しています。」

③ その結果、何を得たか

例：「継続力はもちろん、体調管理や時間の使い方の工夫も身につきました。」

④ それを仕事にどう活かしたいか

例：「営業職でも、コツコツと信頼関係を築く姿勢で成果を出していきたいです。」

この“4段構成”で話せるように準備しておけば、面接でも安定して自分をアピールできるようになります。

NG例から学ぶ「ありがちだけど伝わらない」失敗パターン

「趣味：読書」「特技：早寝早起き」だけで終了

→ 書いただけで満足してしまい、「どうしてそれが特技なのか？」「なぜそれが自分を表すのか？」が一切伝わらない。

「趣味：ゲーム」「特技：スマホいじり」

→ 使う言葉に注意が必要です。同じ内容でも、「eスポーツに関心があり、戦略性のあるゲームを定期的にプレイしています」とすれば印象は変わります。表現ひとつで価値が変わることを意識しましょう。

趣味・特技で「印象に残る人」になるには？

「特技＝誰にも負けないこと」ではなく、「自分なりの工夫と成長の証」だと再定義する

特別なエピソードがなくても、「継続・記録・分析・発信」のプロセスがあれば強みに変えられる

就活は「目立つ」より「印象に残る」ことが大切。趣味・特技はそのための入り口になる

「共感」は面接の武器になる

就活の面接において最も強力な要素のひとつが、「共感」です。
どんなに優れた経験やスキルがあっても、「すごいね」で終わってしまえば採用にはつながりません。
一方で、「この人と一緒に働きたい」「価値観が合いそうだ」と思わせる共感ベースのアピールは、選考突破の大きな決め手になります。

趣味・特技は、学歴やスキルと違い、人間性や日常の姿がにじみ出る要素です。だからこそ、「共感を生むエピソード」さえあれば、どんな内容でも面接の武器になります。

「共感される趣味・特技」の特徴とは？

1. 身近であること

あまりに突飛な趣味やニッチすぎる特技は、話が盛り上がりにくい傾向があります。
例えば、「切手収集」や「鉱石の採掘」が悪いわけではありませんが、相手が知らない分野だと、質問が続きにくい可能性も。

一方で、「料理」「読書」「旅行」「カフェ巡り」「散歩」「YouTube鑑賞」などは、面接官側にも共通の体験がある可能性が高く、話が広がりやすいです。

2. 人となりが見えること

たとえ“珍しくない”内容でも、その人の性格や価値観が感じられる話し方ができれば、共感につながります。

例：「料理が好きで、家族の健康を考えて塩分量や栄養バランスを調整することにこだわっています。」
→ 単なる“料理好き”ではなく、“思いやり”や“健康志向”といった人柄が垣間見えます。

実例に学ぶ「共感される趣味・特技」アピール法

実例1：旅行好きの共感型アピール

NG：「旅行が趣味です」
OK：「旅行が趣味で、特に“現地スーパーに行くこと”を楽しみにしています。文化や日常の違いを知ることで、相手の視点を想像する力が身につきました。」

→ 一般的な旅行の話でも、「どんな視点で楽しんでいるか」を示すことで、人間性と共感を生み出します。

実例2：音楽好きの共感型アピール

NG：「音楽を聴くのが好きです」
OK：「音楽を聴くことで、日々の気持ちに区切りをつける習慣ができました。たとえば、朝はテンションを上げる曲、夜は落ち着く曲を選び、気持ちを切り替えています。」

→ 「感情のコントロール」や「自己理解力」が垣間見えることで、面接官に「自律した人」という印象を与えることができます。

「共感→採用」につながる構成テンプレート

共感されるアピールをするためには、以下のような構成で話すと効果的です。

結論（趣味・特技）
例：「私の趣味はカフェ巡りです。」

具体的な行動内容
例：「毎週1店舗、新しいお店を探し、SNSで感想を発信しています。」

自分なりのこだわり・価値観
例：「“空間の居心地”と“接客の心地よさ”を重視していて、お店を星5つで評価しています。」

得られた気づきや力
例：「お客様目線で物事を考える習慣がつき、相手の期待を読み取る意識が強くなりました。」

仕事への応用
例：「将来も、顧客の立場に立った提案をできる営業を目指したいです。」

この5段階をベースに組み立てれば、どんな趣味・特技でも深みと共感を持って伝えることができます。

“共感＋個性”で印象に残る工夫を

共感されるだけでは、他の就活生と似た印象になる恐れもあります。
そのため、「共感＋ちょっとした個性」を添えるとより効果的です。

例：

「毎日読書をする」→「読書メーターに毎回レビュー投稿」

「料理が趣味」→「冷蔵庫の残り物でレシピを考えるのが得意」

「YouTube鑑賞」→「自分でショート動画も作っている」

日常の中にある“マイ工夫”が、共感だけでなく個性としての記憶定着にもつながります。

“共感される人”が内定に近づく理由

採用の現場で見ているのは「一緒に働けるかどうか」

企業の採用担当者が最終的に重視するのは、「一緒に働く仲間としてどうか」という視点です。
たとえば、

気遣いができそうか

周囲と良好な関係を築けそうか

学び続ける姿勢があるか
など、スキルや経験よりも“人間力”が大切になります。

趣味・特技の話は、それを伝える最大のチャンスです。
自分がどんな価値観を持ち、どう日常と向き合っているかを自然にアピールできれば、「この人と働いてみたい」と思わせることができます。

まとめ：趣味・特技で「共感」と「印象」を同時に残そう

✅ 趣味・特技は「自分の価値観や人柄」を伝える最高の材料

✅ 共感される話は、「身近さ」と「人間味」が鍵

✅ 話す構成は「結論→具体→価値観→得たもの→応用」の順番を意識

✅ “共感”だけでなく、“自分だけの工夫”を一つ加えると印象に残る

✅ 面接はスキルよりも「一緒に働きたいか」が重視される