難易度の高い外資系企業への就職活動で成功するためには、入念な事前準備とスケジュール管理が大切です。目指す業界・職種の特徴や必要とされるスキル・選考方法など、把握すべき要素は多岐に渡ります。
しかし、具体的なアクションやタイミングが分からず、いつからスタートすればいいのか迷う人も多いのではないでしょうか。
ここでは、外資系企業への就職活動に活かせる、スケジュール、選考対策、難易度、戦略などを徹底解説していきます。
外資系就活の全体像
外資系就活のスケジュールは、非常に早い段階からスタートします。
選考スケジュールの流れと時期の目安を確認し、いつから何を始めればいいのか、全体像を理解しましょう。
① エントリーシート作成・書類提出【大学3年生:4月~5月】
エントリーシートは、自分の強みや実績、応募企業に適した人材であることを効果的にアピールします。
必要書類を揃えて提出します。
② オンラインテスト【大学3年生:5月~6月】
企業によって異なりますが、適性検査(SPI)などが実施されます。志望企業がSPIとは異なる形式のテストを導入している場合は、大学2年生の後半には対策を開始しておくと安心です。
③ 面接【大学3年生:6月~7月】
必要なスキルや能力、適性を見極めるため、ケース面接や行動面接など、複数回に渡って実施されます。
④ インターンシップ(サマーインターン)への参加【大学3年生:6月~9月】
能力や適性の見極めが行われ、内定の可能性を高める重要な期間です。
インターンシップ参加を本選考の条件としている企業もあります。
⑤ 会社説明会・本選考大学3年生:【大学3年生:10月~2月】
会社説明会を皮切りに、筆記試験・グループティスカッション・面接などが実施されます。
⑥ ウィンターインターンへの参加【大学3年生:1月~2月】
この時期にインターンを実施している企業もあります。
⑦ オファー(内定)【大学3年生:12月~3月】
外資系就活は遅くても大学3年生の3月には終了します。
外資系企業は専門性の高い少数精鋭の募集枠に対して、優秀な就活生が集中するため、採用に至る倍率は非常に高いものです。
また、企業や職種によって違いはありますが、以下の3点が求められます。
・英語力:グローバルな事業展開における、社内外のコミュニケーションにおいて必要
・論理的思考力:課題把握と問題解決策を提示できる能力が必要
・専門知識:特定分野の高い専門性を証明する資格や実績が必要
外資系就活における業界別の特徴と選考対策
外資系企業の中でも、業界ごとに求められるスキルや選考プロセスは異なります。業界動向の把握や企業研究を行い、徹底した対策を準備して選考に臨むことが大切です。
ここでは、主要な業界ごとの特徴と選考対策を解説します。
コンサルティング(戦略/総合コンサル)
コンサルティングとは、クライアントの経営課題に対して、解決策を提示する仕事です。
外資系コンサルは「戦略系」「総合系」「IT系(専門特化系)」の3つに分類されます。
・【戦略コンサル】企業の事業や展開に関する課題を、経営層を軸に戦略的に支援。
代表的企業:マッキンゼー(McKinsey)、BCG、Bainなど
・【総合コンサル】企業の経営など幅広い課題を、総合的な知識でサポート。
代表的企業:Deloitte, PwC, EY, KPMG, Accentureなど
・【ITコンサル】企業の業務課題などを、IT技術を駆使して支援。
代表的企業:PwCコンサルティング、デロイトトーマツ(DTC)など
選考プロセス
外資系コンサルティング業界には特有の選考プロセスがあります。
選考プロセスの傾向を具体的に解説します。
① エントリー(Resume & Cover Letter)
エントリーに必要な書類には、自分のスキルや能力に加え、エントリーする企業に求められている人材であることをアピールするのが重要です。
成果主義をベースとする評価対策として、インターン経験や学生時代の体験から得た実績を「数字化」して提示します。
例:「部長として新入部員を昨年比10%多く獲得した」
また、外資系企業では、GPA(目安として3.5以上)が重視されます。物事に対して均等に能力を分配できるか、基礎的な能力が備わっているかなどの判断に用いられます。
② オンラインテスト
企業により導入しているオンラインテストが異なります。
多くの企業が、SPIだけでなく、SHL、GMAT(算数・英語)、論理思考テストなど、SPIとは異なる形式のテストを導入しています。突破するためには、事前の対策が不可欠となるでしょう。
③ ケース面接
ケース面接は、具体的な課題が出され、一定時間の検討後に仮説を立てながら課題の解決方法を回答します。業務上必要な思考力や問題解決能力などを確認されます。
例:「商店街の八百屋の売上を2倍にする方法」など
3C, 4P, SWOTなどの分析フレームワークを使って回答します。
例:「競合するスーパーから顧客を得るために、自家菜園の鮮度をアピールする」
パターンを把握するために、Victor Chengの “Case Interview Secrets” を使った練習が効果的です。
④ パーソナルフィット面接
応募者1名に対して実施される面接は、応募者の思考や考えなどを深く知る目的で実施されます。
過去の経験を「STARメソッド(Situation:状況, Task:課題, Action:行動, Result:結果)」を使って整理し、的確に回答します。
外資系コンサル業界を志望する理由、その中でもこの企業を選択したのかなどを、キャリアビジョンを示し、論理的に伝えるのがポイントです。
外資系金融(投資銀行・アセットマネジメント・保険・証券など)
外資系金融とは、金融関連事業を複数の国や地域で展開する仕事です。
外資系金融企業の取り扱う分野は、金融・証券取引や保険など多岐に渡りますが、ここでは代表的な「投資銀行」「アセットマネジメント」を紹介します。
【投資銀行】主要顧客の法人に対して、資産運用や証券業務を行い、資金調達や金融商品の取引支援など幅広いサービスを行います。
代表的企業:Goldman Sachs, Morgan Stanley, JPMorgan, Citi, Bank of America
【アセットマネジメント】資産増加を目的として、資産の運用を代行して行います。株式・不動産など長期的に投資しリターンを最大化します。
代表的企業:BlackRock, Vanguard, Fidelity
選考プロセス
① エントリー
エントリーは、英文レジュメ、英文レポート(Resume)を作成し、実績をアピールします。特記事項(Additional Information)を利用し、選考で評価される情報を記載します。(例:功労の実績や受賞など)
外資系金融業界では、基礎能力の証明としてGPA(目安として3.7以上)が非常に重視されます。
専門的な知識や資格が不可欠であるため、事前に金融知識や分析能力を証明する資格取得がお勧めです。(例:CFA(Chartered Financial Analyst)や証券アナリストなど)
Summer Internship(サマーインターン)からの採用が主流となるため、インターンへの参加は必須といえるでしょう。
② オンラインテスト
SHL、Numerical Reasoning(数値計算)問題を導入している企業の選考を乗り越えるためには、例題などを利用して経験値を積む必要があります。
Wall Street Prep や GMAT対策といった、オンラインサービスや、試験対策講義の受講が非常に有効です。
③ 面接(テクニカル+フィット)
学生時代の専攻や研究から得たスキルを確認する目的で実施されます。
プレゼン型式が多く、技術者としての素質や、企業内での適応力などが確認されます。
例:「アメリカ政権交代後の自動車業界の動向を市場経済の観点より説明せよ」
分かっている情報をもとにして、推測し短時間で回答を導く思考(フェルミ推定)が問われる場合もあります。
例:「日本の学生の割合は」=進学率を100として日本の総人口から回答
志望する企業の面接の傾向を把握し、事前に準備しておくことが大切です。
④ スーパーデー(最終選考)
外資金融業界では、最終面接をスーパーデーと位置づけ、終日最終選考を行います。
関連部署を含めた複数回にわたる面接が実施され、スキルや知識面だけでなく、長時間に渡る緊張感に耐え抜く体力や精神力、マルチタスク能力、ストレス耐性が試されます。
IT・テクノロジー(GAFA・スタートアップ)
IT・テクノロジーとは、情報技術を利用して、インターネット関連サービス、ハードウェア、ソフトウェア、クラウド、デジタルサービスなどの提供を幅広く事業展開する仕事です。
IT・テクノロジー企業の取り扱う分野は、情報サービス全般に渡りますが、ここでは代表的な「GAFA(Big Tech)」「ユニコーンスタートアップ」を紹介します。
【GAFA(Big Tech)】GAFAとは、アメリカの企業のグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの4社の頭文字を並べたものです。ITを活用したサービスを展開するためのプラットフォーム構築、インフラ提供を行っています。
代表的企業:Google, Apple, Facebook (Meta), Amazon, Microsoft
【ユニコーンスタートアップ】ユニコーン企業とは、「設立10年以内」企業の価値評価が「評価額10億ドル以上」「未上場」「テクノロジーを扱う企業」と定義されます。スタートアップとは、設立して短期間で革新性により急成長を遂げた企業を意味します。
いずれもベンチャービジネスから派生した言葉です。
代表的企業:Stripe, Uber, Airbnb, Palantir, Snowflake
選考プロセス
① エントリー
英文履歴書(Resume)作成し、スキルや実績をシンプルかつ効果的にアピールします。
併せて、 ビジネスでの活用が主流のSNS 「LinkedIn」を最適化しておくことをおすすめします。
海外では転職経路のおよそ40%がLinkedIn経由とも言われ、標準的なツールとなっているためです。企業関係者との交流も大切です。
また、LeetCodeなどのコーディングスキルが重視されます。プログラミング学習サービスだけでなく、コーディング試験や面接対策サービスでもあるため、早い段階から利用しておくと良いでしょう。
ソフトウェアエンジニア志望の場合、GitHubの活用実績や技術の評価につながるため、GitHubにポートフォリオを公開するのが推奨されます。
② オンラインテスト
プログラミングの技術・能力を測るためにコーディング試験(LeetCode Mediumレベル)が実施されます。1時間前後のパターンが多いですが、企業によって異なるため、事前のリサーチを行いましょう。
高度な専門職のポストを志望する場合、システムデザイン(システム設計)に関する試験が実施される場合があります。
③ 面接
コーディング面接は、面接官の課題をその場で回答する形式が一般的です。
ホワイトボードなどを用いて、直接コードを記述することから「ホワイトボードコーディング」とも呼ばれます。
課題の回答だけでなく、回答に至るまでの経緯やコミュニケーション能力、適応能力など、エンジニアとして一緒に働けるかの見極めが行われます。
行動面接では、実際に起こりうる課題への対処を求められるので、STARメソッドを用いて、状況設定から結果までを一貫したストーリーとして伝えるのが効果的です。
事例をもとに、プロダクト改善の質問をされることもあります。
サービスの潜在的な課題を顧客とビジネス両方の観点から抜き出し、サービス向上や売り上げ拡大を回答します。
例:「検索エンジン最適化とニーズの不一致の改善方法を提案せよ」など
④ オファー
IT・テクノロジー業界では、ベースサラリー(基本給)+RSU(株価連動のインセンティブ)の体系で報酬が決定される傾向があります。
外資系就活の難易度
外資系企業は採用枠も少なく、ハイスペックな専門性を求める職種も少なくありません。
また、日本企業と異なり、即戦力となる中途採用に力を入れる企業も多いため、新卒者にはハードルの高い狭き門となっています。
外資系の就活では、業界・職種によって難易度が大きく異なり、事前準備や情報収集、選考対策の戦略が勝負の分かれ目となるでしょう。
そこで、「選考倍率」「求められるスキル」「準備の大変さ」などをベースに、業界別・職種別の難易度を詳しく解説します。
業界別の難易度
・難易度(★★★★★)
・戦略コンサル
・投資銀行
・GAFAエンジニア
・プライベート・エクイティ(PE)
<特徴>
・学歴フィルターが厳しい
出身大学や学歴で選別され、条件をクリアしていないとスタートラインに立つことも許されません。
最高峰ともいえる、東大、京大、海外の大学の出身者が圧倒的な比率を占めます。
・本選考エントリーの条件が「インターンへの参加」
インターンへの参加が本選考のエントリーという位置づけになっています。
選考のスタートは、インターンへの申込み時点から始まります。
インターン不参加の場合、本選考への参加資格が得られない場合もあり、外資系企業におけるインターンの重要性を理解するのも必要です。
・複雑な選考フロー「長時間拘束される難易度の高い選考(面接)」が課される。
外資系企業は、選考フローが非常に複雑です。
インターン応募→オンラインテスト→面接→インターン→会社説明会→本選考応募→オンラインテスト→面接→オファー(内定)が基本の流れとなります。
オンラインテストや面接は複数回実施されます。また、選考に丸1日費やすことも珍しくなく、長時間拘束されることもあります。
〇戦略コンサル:マッキンゼー、BCG、ベイン(MBB)
【ポイント】ケース面接が繰り返されるため、論理的思考の訓練が必須となります。選考のプロセスも多く、採用倍率は100~200倍です。
〇投資銀行:ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン
【ポイント】財務諸表やデータの分析力、M&A知識は必須となります。公認会計士やCFAなどの資格があれば有利に働きます。
〇GAFAエンジニア:Google、Meta、Amazon、Apple、Microsoft
【ポイント】コーディング試験(LeetCode Medium:1時間前後~Hard:2時間前後レベル)が実施されます。業務上、ビジネスレベルの英語力・コンピューターサイエンスやプログラミングのスキルも必須となります。
〇プライベート・エクイティ(PE):ブラックストーン、カーライル、KKR
【ポイント】PEとは「未上場企業の株式を投資するファンド」です。その特徴から、実務に直結するLBO(譲渡企業の資産を担保として譲受企業が資金調達する)形式の試験があります。投資銀行以上の競争率となっています。
・難易度(★★★★☆)
・総合コンサル
・外資アセットマネジメント
・外資製薬(研究・開発職)
<特徴>
・戦略コンサルほどの過酷さはありませんが、論理的思考や問題解決能力を確認するための「ケース面接」や企業風土との相性を確認するための「フィット面接」が複数回に渡り実施されます。
・アセットマネジメントの知識が重要視される
保有者に代わって資産運用・管理業務を行う上で、アセットマネジメントの知識は欠かせません。財務分析や経済動向に対して、本質を見抜く力が求められます。
・製薬、バイオ系は博士号が必要なケースが多い
外資系製薬企業やバイオ系企業は、世界規模で研究事業を進めています。そのため、即戦力となるスペシャリストを効率よく採用するために、6年制薬学部や理系・薬学系の修士、博士が応募の条件とされます。
〇総合コンサル:デロイト、PwC、EY、KPMG、アクセンチュア
【ポイント】戦略コンサルほどの厳格さはありませんが、論理的思考を深く考察するため「ケース面接」が重視されます。
〇外資系アセット管理:ブラックロック、バンガード、フィデリティ
【ポイント】投資銀行ほどハイレベルな専門知識は求められませんが、プロの投資家として信頼を得るレベルの金融知識は必須です。
〇外資系製薬(研究・開発職):ファイザー、ロシュ、ノバルティス
【ポイント】応募段階で専門分野の修士号・博士号・薬学資格(薬剤師医薬部外品・化粧品・医療機器の責任技術者など)が求められます。
・難易度(★★★☆☆)
・外資消費財
・外資IT(エンジニア以外)
・外資製薬(営業職)
<特徴>
・専門知識や技術スキルが不要な職種もある
専門知識や技術スキルではなく、業務の効率化や人間関係の構築に有効な「ビジネススキル」や相手への提案や交渉に有効な「営業力」といった能力が求められるでしょう。
・行動面接がメインになる
入社後の活躍と適性を見るために、行動面接を深堀します。
リーダーシップ・問題解決能力・価値観の確認が目的です。
・P&Gなどは「カルチャーフィット」が重要
「価値観マッチング」とも表現され、人材の価値観や特性が企業風土とマッチしているかを採用基準とします。
〇外資系消費財:P&G、ユニリーバ、ロレアル、ネスレ
【ポイント】採用後のイメージや企業との相性が重視されるため、行動面接(STARメソッド)に重点が置かれます。
〇外資系IT(エンジニア以外):SAP、オラクル、セールスフォース、IBM
【ポイント】知識や技術よりも「コミュニケーション力」「問題解決力」「リーダーシップ」といったビジネススキルが重視されます。
〇外資系製薬(営業職):GSK、ジョンソン・エンド・ジョンソン
【ポイント】専門知識よりも「人間力」「商品知識」「思考力」「コミュニケーション能力」といった営業力が重要です。
・難易度(★★☆☆☆)
・外資BPO(業務委託)
・外資系保険(営業)
・日系大手の外資部門
<特徴>
・日本企業の採用方式に近い
卒業予定の学生を定期的に一括して採用します。
・英語スキルはプラス要素になるが必須ではない
英語スキルは選考時のプラス要素にはなりますが、必須スキルではありません。
・転職市場でキャリアアップを目指しやすい
転職することで、よりハイレベルな知識、経験、能力を身につけ、職務経歴(キャリア)を高めることができます。
〇外資系BPO(業務委託):アクセンチュア オペレーションズ、コンセントリクス、テレパフォーマンス
【ポイント】日本語とある程度の英語ができれば採用されるケースがあります。高い英語力は求められません。
〇外資系保険(営業):AIG、アリアンツ、プルデンシャル
【ポイント】学歴はそれほど重視されず、制限もありません。重視されるのは持続的な成長を維持するための営業力です。
〇日系大手の外資部門:商社系の外資系、外資系メーカー
【ポイント】外資系企業での勤務経験がなくても採用されます。
職種別の難易度
非常に難易度の高い外資系企業の就活ですが、同じ業界でも職種によって難易度は異なります。自分の適性と難易度を考慮し、方向性を見極めましょう。
〇コンサルタント(戦略・総合):難易度(★★★★★):高難易度の経営課題のケース面接が実施され、洗練されたロジカルシンキング(論理的思考)が求められます。MBB(三大戦略ファーム)は超難関の代名詞となっています。
〇投資銀行(M&A、ECM、DCM):難易度(★★★★★):世界経済レベルの市場データや財務情報の分析能力、M&A知識、専門的な金融知識が不可欠です。就活生の人気が非常に高く、超高倍率の戦いとなります。
〇ソフトウェアエンジニア(GAFA):難易度(★★★★★):LeetCode Mediumレベル以上のシード(プログラムの開始点・基本情報)が求められます。エンジニアスキルや思考を把握するために実施される「技術面接」の対策が不可欠です。
〇データサイエンティスト:難易度(★★★★☆):Python(プログラミング言語の1つ)、機械学習(データ解析技術)などの知識が問われ、数学、分析に関するテストが実施されます。
〇マーケティング(P&G、ロレアル):難易度(★★★☆☆):アナリティクス(データ分析論や解析論)、戦略立案、内面性やスキルの把握を目的とするSTAR面接がメインとなります。
〇営業(外資IT、外資消費財):難易度(★★★☆☆):コミュニケーション能力、ビジネススキルが求められます。英語力は選考のプラス要素となります。
外資系就活の難しさを突破するには戦略が重要
外資系就活は募集人数が極めて少なく、ハイレベルな経歴やスキルが求められます。そこに優秀な人材が殺到し、長い時間をかけた激しい競争となります。
外資系就活の困難を乗り越えるために、押さえておくべきポイントを紹介します。
・インターン経由の採用が主流
外資系就活において、インターンへの参加は必須要件となります。
特に投資銀行・コンサルは、インターン参加を本選考の参加条件とすることが多くなっています。
大学3年生の4月にはエントリーの書類を整え、サマーインターンへの参加エントリーをしましょう。
・ケース面接・技術面接の準備
外資系企業では、スキルや能力を確認、専門性知識の見極めを目的とした「ケース面接」「技術面接」といった特殊な形式の選考が実施されます。
志望企業の選考方法を確認し、早い時期から対策を練り、イメージを定着させていきましょう。
・コンサル業界を目指す方→Victor Chengのケース面接本で対策
マッキンゼーの元面接官による対策本で効果的に対策します。
・投資銀行を目指す方→財務三表・DCF分析をマスター
決算期の財務諸表を読み解く力と企業価値評価の代表的な手法を、あらかじめ身につけておきます。
・ITエンジニアを目指す方→LeetCode Mediumレベルを解けるようにする。
できるだけ早い時期からの、LeetCodeを活用した準備をおすすめします。
・英語力は「できて当たり前」
業界や職種によって求められるレベルが異なりますが、ビジネスレベル以上(TOEIC900点以上、TOEFL100点以上、IELTS7.0以上)が基準です。
面接や業務で英語を使うことが多いため、実戦力が重視されます。
一方で、STARメソッドで回答できる日本語面接対策も必須です。
状況→課題→行動→結果を掘り下げていく練習を重ね、対応力を身につけましょう。
ツールや情報収集を活用
外資系就活において企業研究は大切な要素です。自分に適した方法を組み合わせて、有力な情報を入手しましょう。
・就活サイトの活用:幅広く多くの基本情報を発信しています。
・企業のホームページ:志望する企業の情報はあらかじめ把握しておきましょう。
・OBOG訪問:先輩社員を訪問して情報を収集します。信頼性があり価値の高い情報を入手できます。
・リクルーターに直接アプローチ:貴重な情報を得る可能性がある一方、先方にも守秘義務などがあるため、配慮が必要です。
・会社説明会に参加:正確な最新情報を入手できます。場合によっては質疑応答の場を活用できます。
H2 外資系就活の必須準備
外資系就活には、特有の準備が必要です。
・履歴書・カバーレター作成
・オンラインテスト・適性検査対策
・面接対策
・外資系就活に役立つツール・サイトの活用
それぞれ解説します。
履歴書・カバーレター作成
応募書類を送付する際に添付するカバーレター(cover letter)は、入社意欲や志望動機、自己PRを伝える重要ツールです。
シンプルかつ効果的にまとめることが求められる履歴書(Resume)を補う大切な位置づけとなります。
自身の成果をアピールする際には「成果を数値化できる」事例を選びます。
例:「前年比+25%の売上達成」
志望企業によっては、 LinkedInを活用し、企業のリクルーターとつながることも有効です。
オンラインテスト・適性検査
オンラインテスト・適性検査について、それぞれの具体的な対策方法を紹介します。
・SHL(Numerical, Verbal Reasoning):WEBテスト対策ツールや模擬試験を活用して対策します。
・LeetCode(IT系):早い時期からLeetCodeを利用した学習を進め、対策していきます。
・GMAT(戦略コンサル):非常に難易度の高いテストです。演習問題などを活用してGMAT特有の英単語の知識を身につけ、出題傾向を把握して対策します。
面接対策
外資系就活において、面接対策は重要な要素です。それぞれの面接の対策方法を紹介します。
・ケース面接(コンサル・外資金融向け)
対策方法:例題や問題集を使って多くの課題に触れて論理的思考力を磨き上げていくことが必要です。
・行動面接(STARメソッド)
対策方法:自己分析を深めエピソードを明確にし、STAR法を使って回答を整理することが効果的です。
・コーディング試験(IT向け)
対策方法:WEBサービスを使ってプログラミングやコーディング面接を練習して準備します。必要な知識も併せて学ぶ必要があります。スクールの活用なども検討していきましょう。
外資系就活に役立つツール・サイト
外資系就活に役立つツールを利用することで、選考対策の手助けとなるサイトとその特徴を解説します。
・履歴書・カバーレター対策: LinkedIn, Resume.io
【特徴】ビジネスに特化したLinkedInを利用することで志望企業の人事担当とつながり、自分を伝えるツールとして活用できます。Resume.ioは履歴書やカバーレターの作成方法やテンプレートがまとめられた世界中で利用されている求人特化ツールです。
・ケース面接対策: Victor Cheng, MConsultingPrep
【特徴】元マッキンゼーの経営コンサルの著書・戦略コンサル向けの問題集を利用して、面接対策を整えます。
・オンラインテスト: SHL, GMAT Club
【特徴】数的推論・論理思考対策などを、オンライン上の例題や過去問を利用して身につけていきます。
・コーディング試験: LeetCode, HackerRank
【特徴】GAFAをはじめとするIT企業を志望する場合には、できるだけ早い時期からLeetCodeやHackerRankを活用して経験値を上げておく必要があります。
・外資系就活情報: 外資就活ドットコム, Wall Street Oasis
【特徴】外資系企業の情報に特化しているため、業界ごとの面接・年収情報などの情報を入手できます。 協業他社との比較などにより、志望企業の独自の強みなどが理解できます。
・専門就活サービスやエージェントの活用
【特徴】外資系就活対策をプロにサポートしてもらうことができます。
外資系就活の合格ポイント
高難易度の外資系就活において必ず押さえておくべき「合格ポイント」を解説します。
難易度を理解して早めの準備
外資系就活の難易度は非常に高く、求められる知識やスキルは多岐に渡ります。どれだけ早く準備をはじめても早すぎることはありません。
外資系企業のエントリーを決めた時点で、情報収集や資格取得などの行動を開始しましょう。
英語力を磨く
業界や職種により求められるレベルに差はありますが、外資系就活における英語力は非常に重要な要素です。
電話やメールといった基本的な業務のやりとりにはTOEIC700点以上が推奨されます。
社内外のコミュニケーションや専門的な打合せが英語で行われる場合は、より高度な英語力が必要とされ、TOEIC800点以上が目安となります。
コミュニケーション力
外資系企業は、必要とする能力・職務ありきで人を雇用する「ジョブ型採用」が大半を占めます。求められている能力の専門性をさらに向上させ、自己啓発を重ねる意欲や行動力、自主性が必要です。
一方で、企画の実行や課題解決、事業計画の成功には周囲とのコミュニケーションが不可欠です。円滑な意思疎通や信頼関係構築のために、日頃から良好な関係を維持することが大切です。
メールや電話での対応の機会も非常に多いです。相手に好印象を与え、臨機応変に対応する能力も求められるスキルとなります。
異なる文化への理解
外資系企業での活動は、様々な人との円滑なコミュニケーションが必要です。異なる文化への理解と尊重を深める方法は、比較的簡単に実行できるものから取り入れていきましょう。
・海外旅行
・留学
・交流会やイベント
・国際的なプロジェクトへの積極的な参加
まとめ
超難関ともいえる外資系就活の突破のカギは、「早期の準備」です。志望企業(職種)を明確にし、「ムダなくモレなく」必要な知識やスキルを効率的に身につけていく必要があります。ハイレベルな専門性や英語力など、習得に時間を要する要素もあります。いかにして計画的に、時間を確保していくかが重要となります。
十分な時間をかけて入念な事前準備と段取りを組み、外資系就活を勝ち抜きましょう。